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the twenties インタビュー
今はもうひたすらライブやって
誘われたらどんなジャンルのイベントでも
出て行こうっていうスタンスでやっています――タカイリョウ

タカイリョウ(vo&gt)、野菜くん(ba)、ウルマヒロユキ(gt)、アンソニーダイナソー(dr)からなる4ピースバンド、the twenties。2009年に大分で結成後、2011年に上京。2016年に現メンバーとなってからここ数年は、怒涛のライブ数をこなしながら鉄壁のグルーヴを培ってきた。彼らの特徴はフロアを直撃する爆裂サウンドと心を揺さぶる歌。とりわけ、洋楽や邦楽、ダンスミュージックやロックの境界を取っ払い地続きにしてしまうライブパフォーマンスは圧巻だ。今のthe twentiesのステージを見れば、ダンスロック・バンドとも、エレクトロ・バンドとも、ロックンロール・バンドとも呼ばれる、まさにボーダレスを地で行くバンド力がわかってもらえると思う。ここでは、改めて4人の原点を辿りながらメンバー全員にインタビュー。the twentiesというバンドをまずは知ってほしい。

―― 今年はまず、初のワンマンツアーがありました。手応えはいかがでしたか?

タカイリョウ 最高でした。普段やれない曲もできるんで、かなり盛り上がりましたね。今回は大阪、福岡、大分、名古屋、神戸、仙台、東京。頻繁に行ってる箇所でもあるので、人も結構集まりました。

野菜くん 待ち望んでくれてる人が各地に結構いらっしゃったみたいで。

―― 関西をはじめ、the twentiesは本当によく地方に行ってますよね。

ウルマヒロユキ 一時期よりは本数は減ったんですけどね。

タカイ なんかちょっと本数は麻痺してます。ライブをしてないと、逆に家にいる時とか不安になってきますもんね。何したらいいかわかんなくて。そのくらいライブやるのが当たり前な感じというか。けど、今年は制作の面でもっと力を入れたいというのがあって。ちょっと(数は)抑えていこうかなと。でも結局、どんどん決まってますね。

野菜くん 地方のイベンターの方たちもかなり力添えしてくれて。

タカイ あとライブハウスの店長さんとか。やっぱりやれる場所がなくなったら、バンドって意味ないじゃないですか。だからそういう場所を提供してくれる人がいるなら、なるべく気持ちに応えたいです。

―― そんな日頃の活動が繫がって、各地のワンマンを経ての東京ファイナル(渋谷WWW X)も大盛況でしたね。

タカイ 今までで一番大きな会場で、動員も一番多かったですね。あの場所でやるのは挑戦的な部分でもあったんです。けど、普段やってるライブハウスでワンマンもいいけど、俺らもチャレンジして、お客さんにもひとついいステージが見せられたらなと思って。やっぱ楽しかったですしね、すごく。あれは本当にいい経験になりました。

―― 上を目指す姿を見せてもらえるのはこちらも嬉しいです。アンコールで出てきたウルマさんが感極まってるように見えました。

ウルマ ように見えたでしょ? あれは、何言おうかマジでわかんなくて。

タカイ そうなんですか? 結構つまってましたよ。俺、めっちゃ笑いましたもん。

野菜くん 極まってる、みたいな?

ウルマ あれは本当に「何を伝えようかな」って。ありがとうしか浮かばなくて。感極まってたわけではないんですよ。

アンソニーダイナソー そうなんですか?

ウルマ そうそう。

タカイ そこは「感極まった」て言っときましょうよ(笑)。

―― でもお客さんやフロアの景色も見えただろうから。

ウルマ 素晴らしかったですね。一番いい景色でしたね、今までライブしてきて。「ありがとう」ですね、本当。それしか思い浮かばないような光景でした。

―― みんな大満足な一夜に?

タカイ いや、大満足まではいかなかったですね。たぶん満足することはない気がするんすよね。終わっても、これより次、ここからさらに頑張んないと。ソールドアウトもできなかったですし。

ウルマ そうやな。

―― そのファイナル後も各地を回ってますが、スケジュールを見て、平日にも関わらず京都でのオールナイトイベントがあったのには驚きました。

タカイ ああ、行きましたね。京都METRO。スタークローラーの来日が決まったから深夜もやろう、とイベンターの人が声をかけてくれて。そら行きますわって感じですね。

―― 京都METROは普段でも平日深夜のイベントがあるんですか?

野菜くん ナイトイベントありますね。デイイベントは結構来日公演が多い。インディーズ系もよく来日してますね。で、深夜はそのDJのイベントだったり、主催者が深夜にレギュラーイベントをやっていて、そこにたまに出させていただいてるって感じです。

タカイ 俺らも深夜だとずっとフロアにいるんで、デイとはまた違う空間でお客さんも楽しんでるのかな、と。

野菜くん ベタなカバーとかもやるし。

―― 例えば?

タカイ ザ・キラーズとか。この前はスマッシング・パンプキンズやったり、オアシスやったり。

野菜くん わりとアンセミックな曲をよくやる。

―― それはそれで見てみたいです。

野菜くん 僕らもやるのが楽しみなんで。デイとはまた違った味わい方が、深夜は楽しいっすね。

ウルマ 関西も本当にしょっちゅう行ってるんで、やっぱりやってる方も違う見せ方しないと。ま、今のところいい方向に行ってますね。

―― 今、カバーの話も出てきましたが、みなさんはどんな音楽がルーツなんですか?

ダイナソー 邦楽も洋楽も好きなんですけど、自分が最初聴き出したのは中学生の時のグリーン・デイとか311ですね。

野菜くん 初耳。

ダイナソー たぶん邦楽や洋楽のノリとかテイストっていう分け目はあると思うんですけども、俺の中で差はそんなにないというか。音楽は音楽やろ、みたいな。邦楽で初めて聴いてたのは椎名林檎とかなんで、僕は雑多だと思います。広く浅くかもしれないですけど、家にいる時とかフとした時にちょっとジャズ流したりとか。

ウルマ かっこいい。かっこよすぎるやろ。

タカイ フとした時ってなに? それが気になるわ(笑)。

ダイナソー フとした時にジャズ流して、フとした時にコーヒー入れて、みたいな。

野菜くん しゃれてる(笑)。

ウルマ そんな人やと思わんかった(笑)。

タカイ そんな要素感じたことない(笑)。

ダイナソー 全く見た目からは要素はない……。実はそういうのも好きで、音楽楽しんでますね。

―― じゃあ中学の時が始まりなんですね。

ダイナソー そうですね。楽器を始めたのがギターだったんですけど、その時はメロコアブームが来てた時だったんで、コピーバンドをやろうとか言ったらハイスタ(Hi-Standard)、SNAIL RAMP、THE MAD CAPSULE MARKETS、Dragon Ash。そういうバンドのコピーをやった後に、女性ボーカルのバンドが結構好きだったんでJUDY AND MARYとかをコピーし出して。でも、フとした時にドラムを始めて。

一同 フとした時に!

ダイナソー それがthe twentiesに入るタイミングくらいだったんです。

ウルマ the twentiesからドラマーが抜けた時に、ライブハウスの方からダイナソーを紹介されて。ファミレスで面接みたいにして会ったら「ドラム叩いたことないっす」と。「話が違う!?」と思って。でもお世話になってたライブハウスだから文句も言えなくて、「じゃスタジオ一緒に入ろ」から始めて。

野菜くん まあ、自分がドラマーって言や、ドラマーですからね。

ウルマ 出会った時にはある程度、ドラムセットに座って叩いたことはあったけど、本気で曲を作っていくようなドラマーとしては、たぶん、そこからのスタートだったとは思うんですよ。

ダイナソー ですね。補足ありがとうございます。

タカイ 俺はその時は行けなかったんで、スタジオで初めて会ったんですよ、ダイナソーと。それからは別に「じゃ一緒にやろうよ!」という流れもなく、そのままスタジオに入って「じゃ次のリハは」みたいな感じでしたね。

―― それが今に続いてるんですか?

タカイ そうです、そうです。

ウルマ the twentiesらしい感じなんですけど。

タカイ 俺もめちゃくちゃ初心者で、the twentiesが初めてのバンドだったから。

ウルマ ギターを弾いてる時に「あれあれ?」と思ったら、ギターの弦を逆に巻いてた(笑)。わざとかなと思って聞いたら、単純に知らなくて。

タカイ (笑)。とにかく一緒にやれる人がいればいいやって感覚だったんで。初心者だからどうっていうのもなく、今まで続いてる。すごい、ぬめっと始まってますね。

―― それからダイナソーさんは自分のドラムのスタイルを確立していった?

ダイナソー まだまだ勉強ですね。ドラムってすごいフィジカルな楽器やなと思って。ギターにはない感覚というか、自分がどんだけ力を出して腕を動かして、どんだけの音が鳴るか、こんだけの音色を出せるかとか、そういう醍醐味もある。電子楽器だったらつまみで調節するじゃないですか。でもこっちは体で表現するじゃないですか。それがたぶん性に合ってたと思うんですけど。俺、親父がスポーツマンで、スポーツプロの息子なんです。だから体を動かすっていう面では全然苦じゃないし、逆に楽しい。今でも自分の中のドラムのアイドルは中村達也さんですね。

―― へー!

ダイナソー スティックを握ろうと思ったのは、あの人を見てからなんです。BLANKEY JET CITYはもう解散してたんですけど、フジロックでのラストライブの映像を見た時に「なんてかっこいいんだ!」と思って。あと共通しているかはわからないですけど、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンとか。なんかああいう、もう勢いでガーッていくようなのも好きで。あんまり器用じゃないんで、かっちりするのも苦手なところもあるんですけど、それよりデカい音を出してバーン! みたいな。もうみんなの背中、3人のプレイヤーの背中を押してバン! みたいな感じ。そういうのもだんだんわかってきたんで、自分でやってて面白いなって思ってますね。

―― タカイさんは?

タカイ 俺は子どもの頃、施設に入ってたんですけど、同じ部屋の高校生の兄ちゃんがTHE BLUE HEARTSとか奥田民生をよく聴いていて。だから自然と耳に入ってきて、それを歌ってる感じだったんですけど。自分で音楽を選んで聴き出したのは中学に入ってから。最初は高校生の兄ちゃんからラジカセをもらって。で、とにかく何か聴きたいから、タワーレコードに無料配布のCDを取りに行ったんですよ。買う金はなかったんで。それで初めてもらってきたのがリッキー・マーティンとか売れ線の洋楽アーティストのオムニバスが1曲ずつ入ってるサンプルのCD。洋楽をとにかくいっぱい聴きたいなと思って、最初は誰かもわからずにサンプルCDをとにかく聴いて。で、サンプルCDを取りに行ったタワレコでニルヴァーナの映像が流れてて。それを見て、なんか初めて「わお」みたいな感じになって。高校生になってからじゃないと自分の手にお小遣いを持てなかったので、園の先生にお願いして一緒にタワレコに行って「このCDを買いたい」って。で、買ってもらったのが『ネヴァーマインド』。それからハイスタブームもあったんで、中学の友達からはグリーン・デイ、ハイスタ、ブリンク182とかも借りて、メロコアの全盛期のCDもたくさん聴きました。と同時にやっぱり、俺の中で洋楽志向が強かったので、どんどん洋楽にのめり込んで、2000年代とかでストロークスとかあの辺にどっぷりはまっていきましたね。

―― 最初の衝撃はニルヴァーナなんですね。

タカイ そうっすね。それからはビートルズとかストーンズとかも「いや、これも聴いとかないとやっぱダメだよな」って聴き出して。高校を卒業してからはとにかく洋楽の新譜をあさりまくってましたね。どんどん出てくる新譜をあさって、いろいろ聴いて。それは今もあまり変わらないかな。今はスポティファイでどこまででも掘れるし、新しいものも出るし。

―― 洋楽に惹かれた理由はなんでしょうね?

タカイ なんなんすかね。気づいたらって感じですね。邦楽ももちろん聴くけど、自分から探すのは洋楽ばっかでしたね。20歳越えてからですね、邦楽を自分で掘り返してみようってなったのは。テレビも観られてなかったんで、邦楽の売れてるアーティストとかも全然知らなかったんすよ。中学、高校の友達から聞く話しかなかった。だから、ラジカセをもらって最初にサンプルCDをもらいに行ったように、思春期はとにかく部屋で何か音楽を聴きたいっていうスタンスでした。

―― 野菜くんは?

野菜くん 僕は、バンド自体に興味を持ち出したのが中1の時のL'Arc〜en〜Cielですね。最初に買ったCDは小学校の時、GLAYのベスト盤だったんですけど、ラルクを聴いた時に「バンドやりたいな」って。で、アコギが家にあったんですけど、弾けなくて断念して、ベースが欲しくなって。それでハードオフに売ってたジャンク品のベースを買ってもらいました。でもラルクってすごく難しくて、また挫折したんですよ。で、中3になってLUNA SEAを聴き出して。その時にはもうバンド系の雑誌もたくさんあったので、載っているスコアを見てみたらなんか弾けそうだな、と。それで弾き出したのが最初ですかね。そこからX JAPANとかも行ったんで、ビジュアル系が好きでしたね、中学から高1くらいまで。

―― そうなんですね。

野菜くん 高1の夏くらいからビジュアル系をぱったり聴かなくなったんですよ。軽音で、先輩がNOFXのコピーをしてたのにすごく衝撃を受けて。「なんじゃこりゃ」って感じで。そこからNOFXとかランシドを入り口に、ノー・ユース・フォー・ア・ネイム、オフスプリング、ハイスタとかひと通り聴きあさって、メロコアにはまりましたね。高3になるとまた志向が変わってきて、親父がビートルズとかを聴いてたんで、ビートルズを聴き出して。そこからイギリスの音楽にどっぷりはまっていきましたね。オアシス、ブラー、レディオヘッドとか。結構、節操ない感じで高校生活を過ごしてて。大学に入ると、一応バンドの企画サークルに入ったんですけど、そこが結構くせが強いサークルでメインストリームの音楽は聴く人はあまりいなかった。わりとアングラの志向が強い人たちが多くて。暇な日はディスクユニオンに行ってCDを買いあさるっていう生活をしてて。たぶん大学の4年間が、一番音楽を聴いていた時期だったかなと。それこそ洋楽のダンスミュージックから日本のノイズ、アバンギャルドとかも聴いてました。

―― いろいろ網羅してきた感じなんですね。

野菜くん そうですね。クラシック以外は結構聴いてきたかな。ジャズ研にも……。

タカイ フと行った(笑)?

野菜くん フと行った時期がありました(笑)。大学で初めて入ったサークル、ジャズ研だったんですよ。合わなくて3ヵ月でやめたんですけど。

―― みんなジャズはフとした時にやる。

野菜くん で、結果その隣にある音楽サークルに入った。いろいろ教えてもらったり、いろんなバンドをコピーしたりとかして楽しかったっすね。

―― ウルマさんは?

ウルマ 俺は小4の時に、幼なじみというか友達の家でX JAPANを聴いて。「紅」と「サイレントジェラシー」って曲があるんですけど、その曲を聴いて衝撃で。あの……一人っ子なんで親がちょっとわがままを聞いてくれるんで、その夜か次の日かなんかに、CDとコンポを買いに行ったんですよ。家でX JAPANが聴きたくて。その時にアルバムの中の歌詞カードの写真とかでHIDEを見て「うわ、かっこいい、こんな人になりたい」って思って。で、「じいちゃんギター持ってるよ」ってことになって、借りに行ったらフォークギターなんですよ。なんか違うなぁみたいな。でも、小学4年なんてギターの種類がいっぱいあるなんて知らなかったし、誰も教えてくれないし、今みたいにYouTubeとかもないし、周りにギターをやってる大人もいなかった。で、見よう見まねというか、テレビで見て「あ、こうやって弾くんだ」って自分で学んで。

ダイナソー テレビで見て? マジっすか?

ウルマ 俺、ギターのネックにある点に目がけて弦を持ってくんやとずっと思ってて。「この楽器、めっちゃキツい」って思ってた。でも仕組みをわかりだした頃、ジャンプに“エレキギター何点セット”みたいなのが載っていて。これだ、エレキギターだ、俺が弾きたいのは、と。

―― 仕組みがわかりだしたのは、いつ頃のことですか?

ウルマ 小学校5年くらいですね。「これを買ってください」ってすごいお願いして買ってもらって、X JAPANをコピーし始めた。で、小学校で一番うまくなりたい、中学校で一番うまくなりたい、高校で一番うまくなりたいって。ま、小中と不登校気味だったんで、おかげで弾く時間もいっぱいあったから頑張って練習しました。高校に入ってからは、ROUAGEってビジュアル系バンドがいたんですけど、そのバンドが好きでコピーバンドを始めて。で、もうひとつ大分に、高校生でビジュアル系をやってるバンドがいたんですよ。その時やってた自分のバンドは俺とボーカル以外下手だったんで、うち解散して向こうも解散させてドッキングさせようぜってなって、裏で根回しして向こうのバンドを解散させて、うまいやつ3人引き抜いて、新しいバンド立ち上げて。そこからですね、高校1年か2年でガッと始めて4、5年ぐらいかな、結構がっつりビジュアルやってました。

タカイ だからthe twentiesのギターのリフは、ちょっとメロディアスな感じがあるんじゃないですか。それはやっぱりビジュアル上がりだから、なんかそういうエッセンスがすごい入ってる。俺が感じたことないものがあるんすよ。ウルルン(ウルマ)が弾くフレーズには。けど、それを初めて聴いて「あ、これは面白いかも」と思ったんですよ、その時に。俺にはないものが出てくる。何て言うか……。

野菜くん 耽美的な。

タカイ うん。それがある。俺、ビジュアル系全く通ってなかったんで。「これはなんか、新しいバンドになるかもな」って思って。俺も意見すごい言うんで、ごちゃ混ぜになる感じがいいかもなって。それは今たぶん、かなり活きてる。

ウルマ 俺は結構かっちりしてるフレーズを作ったりとか、型にはめてく性格なんですよ。はまってないと気持ちが悪い。タカイ君はまた全然違う型で、ふわーっとしてるラフなタイム感っていうかフレーズだったり、ニュアンスだったり。だから持ってないものを提供してもらって、解釈して俺が出すという。そこがthe twentiesとしてギター弾く上で新しいというか、自分にない一面が出てくるので。

タカイ そうなんすよね。俺も普通に地元の友達とバンドを組んでたら、全然違うバンドになってたと思うんですよ。俺はずっと施設で友達とバンドも組めなかったんで。門限も6時だったし。俺が20歳になってウルルンと出会って、何を聴いてるとかも何も知らなかったけど、とにかくバンドがしたかったんで、ギターをやってる、もうそれだけで誘ったんです。今、これだけ長く続いてるのも、逆にそれが良かったのかも。ないものの引き出しも多いので。

―― お互いに?

タカイ そうですそうです。だからまだまだ面白いものができるんじゃないかなっていう、楽しみもありますし。

ウルマ ビジュアル系の後も結構やったんですよ。ミクスチャーやったり、学ラン着て氣志團やったり。ガチでメロコアやってみたりとか。

野菜くん へー、そのバンドでですか?

ウルマ 幼なじみとやってたバンドがあって。それはソフトバンクの地方CMに使ってもらったり、結構まじめに営業やって。

野菜くん バイタリティがすごい。

ウルマ いろいろ聴き出したのはビジュアルを解散してから。HMVが好きで、洋楽の試聴機コーナーの楽しさを味わって。でも音楽量としては俺は全然浅いです。タカイくんと出会って、そこからいろいろ教えてもらいましたね。だから遅咲きなんすよね。音楽のこの多様なジャンルと、いろんなプレイヤーがいて、聴いたことない音楽がこんなにあるんだなって。ビジュアルの時は他の誰かの曲はほとんど聴いてなかったんですよ。作ることに精一杯で。

―― ウルマさんの「何人で弾いているんだろう」と思うようなあのギターの音は、そこから来てるんですね。

ウルマ たぶんそういうのもあるんだと思うんですけど、サウンド面を構築したのは東京に来てからですね。テクニックだと、うまい人なんか山ほどいるし。だったら俺にしか出せない音色だったりフレーズ感だったりを突き詰めようと。「こういう感じの音は?」「あ、あの人いるよ」っていう名前に挙がるようにと思って。埋もれないようにっていうのがきっかけですね、俺の一生懸命な末に編み出した音というか。

―― でも、そんなに音にこだわって、知り合いのバンドを解散させてまでバンドを組んでたのに、初心者2人と組むことになるんですよね?

ウルマ そうなんですよ(笑)。

ダイナソー 確かに(笑)。

ウルマ ひと通りやって、本当はバンドはもういいなって思ってた時期あったんですよ。就職したりいろいろあって。でもタカイくんと会って。ターニングポイントですね、この人。

―― みんながターニングポイントだったってことですね。

ダイナソー そうです。

タカイ 本当そうっすね。

ウルマ タカイくんの「バンドやりませんか?」ってその一言で。

――だけど初心者という。

ウルマ いや、でも、なんかすごい人になりそうな気がするけん、一緒にやってみようかなって。

―― 根拠はあったんですか?

ウルマ 根拠はないっす。一目惚れみたいなもんじゃないですかね。女の人と出会って「あ、この人と結婚するかもしれない」みたいな。なんか漠然と「あ、この人面白くなりそう」って。じゃないと俺、一緒にやらないですね。予想が付きそうなことなら山ほどバンドを見てやって来てるし。もうやらなかったんだろうなと思うし。

―― 奇跡のようなタイミングでみんながそろったと。

ウルマ そうですね。バンドの成り立ちはそんな感じですね。

タカイ けど、そんなこと考えたこともなかったですね。こうやって改めてひとり一人の話を聞いて、初めて「あ、そうかぁ」って。やっぱ面白いっすね。

野菜くん 確かに。振り返ってみると、いろんなことがわかる。

タカイ 本当に初心者でしたからね。俺とかもう、ただ単純に家で音楽聴いて、それに合わせて鏡の前でギター持ってバーン! ってするだけでかっこいいと思ってた人間なんで。

―― タカイさん自身がバンドやってみたい、ギターを弾いてみたいと思ったきっかけは?

タカイ さっき話したニルヴァーナの映像です。カート・コバーンがギターをアンプにぶっさしてて。なんかその光景がとても気持ちよくて。「うわ! すごい、こんなバンド」って。それまではどちらかと言うと、サンプルCDで音の整った綺麗な洋楽を聴いてたんで。それがなんかもう、ギターのウヮーン! バーン! ていうのを見て。あと、金髪のロン毛っていうのがめちゃくちゃかっこよかった。もう「バンドやりてぇ!」ってなりましたね。結局ずっとできなかったけど、その気持ちは変わらなくて、20歳になってもとにかくやりたかった。それがやっと、自分で動いてやれるタイミングが作れたのがウルルンを見つけた瞬間っていう。その頃は、周りはみんなやってるか、もうやめてるかなんですよ。だから俺は俺で新しい人を探すしかなくて。ウルルン見つけて、即行でしたね。

―― わりと最初からオリジナルを?

タカイ そうっすね。けど、一番最初はデヴィッド・ボウイとかコピーしました。公園でウルルンに聴かせて、ギターを一緒に練習して。

ウルマ ああ、車の中で、

タカイ そうそう。最初に俺はまず、ウルルンを俺色に染めようと思ったから。「このバンド知ってる?」って感じで。

ウルマ 俺も新鮮やったですもんね。聴いたことないフレーズがどんどん来るから。

タカイ で、だんだん曲を作って持ってきてくれるようになって。

ウルマ やりたいことがそれでちょっと伝わり出して。

タカイ うん。そっからオリジナルに入っていきました。結構早かったです。

ウルマ 弾けるフレーズって、結構限られちゃうんですよ。各々が叩けるレベルの「ここまでできるな」「ここまでできるな」「じゃあ、こういう楽曲が今なら作れるかな」とか。レベルスキルが上がってく上で、曲の感じもどんどん多様化できるようになっていったし。

―― 今のスタイルが確立する瞬間っていうのはあったんですか?

タカイ それはたぶん、TOLLxxx→くん(前任のベーシスト)の前にたっちゃんていうパンクスのベースがまだいた時、「sunday」を持ってきた時ですよね?

ウルマ たぶんね。

タカイ 「sunday」っていう曲があって、それを聴いた時「うわ! これはちょっと行けるんじゃねぇかな」って思ったんですよ。何て言うんですかね。今まで聴いたことない、感じたことない曲のノリだったんで。そこからですね、ウルルンにも「こんな感じのフレーズを」っていう指示を出しだしたの。

―― それはバンド結成からどれぐらいですか?

タカイ 結成が2009年で、2年経ってないくらいですよね。

ウルマ 1、2年ですね。

タカイ それまでは、どっちかって言うとソニックスとかああいうガレージ系の音楽をすごいやりたかったんです。それにウルルンがちょっとビジュアル要素のギターを乗っけて。そんな感じのバンドだったんですよ。でも急に「sunday」っていう特殊な曲を持ってきて「こんなの作ってみたけどどう?」って。「おもしろ!」ってなって、そこからっすね。それがたぶんきっかけで、ちょっとシフトした感じ。なんかもっと面白い感じに曲を作ってみようかなっていう。

―― 「sunday」を作った時は、まだ大分にいた頃ですか?

タカイ 大分ですね。で、「sunday」が入ってる最初の盤を作って。初めての音源なんですけど、それができた時にはもう東京に行こうって決めてましたね。こんないい曲できたのに、ここにいちゃもったいねぇぜみたいな。

―― the twentiesって、ダンスミュージックで括られてもロックンロールで括られても、そんなの関係ないような位置にいる特異なバンドだと思ってるんですが、今の話を聞いて成り立ちがすごくよくわかりました。まさか、ビジュアルのフレーズが活かされてるということも。

野菜くん かっちりした小節もシンセ音に合ってるんじゃないですかね。同期かと思う、みたいな。

ウルマ うん。性に合ってる。

タカイ うまいからね。「同期入れてるんですか?」ってよく言われるんすけど。

ウルマ 「いやいや、同期入れてないっすよ」って言いながら、心の中では「よしゃー」って。それ言わしたら俺、勝ちやなと思って。

野菜くん 培われた部分があったんじゃないですかね。テクありきなんですよね、ビジュアルって。

ウルマ あったとは思う。

タカイ 俺の真逆な感じっすね。

―― 本当、見事にみんな違う個性が。

野菜くん 例外もあると思うけど、だいたい、やっぱ寄っちゃうものですもんね。

タカイ それはそれで、めっちゃうらやましいと思いますね。なんか、もう本当に全員が好きな音楽を突き詰めてやってるっていう光景を見ると、いいなって思います。もちろん、the twentiesはthe twentiesでいいんすけど。

―― それぞれが好きな音を出して、the twentiesの音になってる。

野菜くん 一応、重なってる部分もあるんで。で、一番濃いところを抽出して行くみたいな。

タカイ そういう感じで今、バンドがノってるんで。面白いっす。今はもうひたすらライブやって、誘われたらどんなジャンルのイベントでも出て行こうっていうスタンスでやってるんですよ。歌もののバンドがいてもとにかく出て、そこにいるお客さんをつかんでこうっていう。

―― でも、今のライブの出方は逆に健全なような気がします。カテゴライズしない状況の中で、それがワンマンツアーに繋がったんですもんね。

タカイ ああ、それはありますよね。

―― そこは大きな自信になりますよね。では最後に、今後の活動について聞かせてください。

タカイ 今年はいい曲を作る。そしていいライブをする。それだけですね。それを楽しくやっていこうかなっていう感じです、今年も。

ウルマ そうっすね。今のシーンをうちらでひっかき回せたらなぁと思います。「ええ!?」ってひかれるようなバンドになれればなぁと思うんすよね。衝撃を与えたいっす。いろんな人に。そんなバンドになりたいっすね。

(取材:秋元美乃/森内淳)
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<STAFF> WEB DONUT VOL.1/2018年7月4日発行/発行・編集・WEB制作=DONUT(秋元美乃/森内淳)/カバーデザイン=山﨑将弘/タイトル=三浦巌/編集協力=芳山香

INFORMATION



the twenties 1st full album 『GLIMMER』
2017年11月1日Release
neon records / NECR-1016 ¥2,500(+Tax)
収録曲:M1. LET IT DIE/ M2. 追憶ダンス/ M3. さらば青春の光よ/ M4. Guilty/ M5. 園の子/ M6. にじのうた/ M7. Day out/ M8. 2 0 1/ M9. 下坂部/ M10. BabyBlue

LIVE
■7月5日(木)大阪・OSAKA MUSE
「ズバンッ!」
出演:the twenties / Zantö / 空きっ腹に酒 / Runny Noize / climbgrow
■7月7日(土)大阪・心斎橋アメリカ村周辺19会場
「見放題2018」
http://www.mihoudai.jp/
■7月8日(日)静岡・浜松Force
「ユタ州企画「ユタ州のドンとやってみよう!」 〜koboreもレコ発!〜」
出演:ユタ州 / kobore / SUNNY CAR WASH / the twenties / 絶叫する60度 / Atomic Skipper
■7月13日(金)東京・下北沢Laguna
「Laguna 10th anniversary special Change gonna come!!!」
出演:氏原ワタル(DOES) / タカイリョウ(the twenties) / 小林要司(Large House Satisfaction)
※タカイリョウ弾き語りでの出演となります。
■7月21日(土)兵庫・MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
Before Sunrise vol.15 「宵待2nd single レコ発tour 備忘録final&プッシュ生誕26周年祭」
出演:藤本友己 / 太陽のくしゃみ / 清水煩悩 / PJJ / 浪漫革命 / the twenties / 奴亦准Octet / Paper People(アコースティック) / ムノーノ=モーゼス / 宮地慧(mement森) / 宵待 OA:うきみ / OA:無きにしも非ず DJ:waddy / YUTO
■7月22日(日)大阪・北堀江club vijon
「ALTERNATIVE CLUB vol.9 KILL MY 27 Noise EP 「Drops」 Release Party」
出演:KILL MY 27 / the twenties / FIFBTHNEWHEAVY
DJ:サカグチマナブ- LIVE 4 NOISE SET -
■7月28日(土)東京・ShibuyaMilkyway
「Hey!Hey!Hey! Vol.4」
出演:the twenties / The Mirraz

the twenties公式HP:http://thetwenties.info/tw-wp/

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