DONUT



2021.07.26 upload

The Birthday インタビュー

もっと色々想像してもいいんじゃない? うまく説明はできないけど。やっぱり何か「こうしたいな」って思うことが大事だと俺は思うし。そしたらそうなるかもしれないしさ
――チバユウスケ

自分が音楽を聴くときもそうだしね。作者の本意なんてわからないわけで。聴いて勝手に勇気をもらったり、勝手に悲しんだり喜んだりできるのが音楽だよ
――クハラカズユキ

The Birthdayの強さとはいったい何だろう。ライブの高揚感、重厚なグルーヴ、楽曲の包容力。そのどれもがド級のパワーをもってバンドは突き進んできた。そしてこの夏、2年4ヵ月ぶりに届くニューアルバム。いつもより長い制作期間を経て完成した本作は、どことなく“とき”を行き来するチバユウスケの眼差しもあり、それが映像のような感覚で聴き手の胸にうたの世界を浮かべる。月光も、ブルーズも、暴発した100の魂も、でくのぼうも、小さな愛も、ナイフを持ったその激情も。重く強い響きがありながら、このアルバムが光が射し込むように鳴っているのは、今のバンドサウンドが生み出す呼吸ゆえに他ならない。タイトルは『サンバースト』。チバユウスケとクハラカズユキにアルバムの話を聞きながら、The Birthdayの強さとは、優しさなんだろうと感じた。2021年6月29日の話。

●取材・文=秋元美乃

※このインタビューはDONUT vol.10(表紙:チバユウスケ)にも掲載します。紙のDONUTに掲載されたときにどうイメージが変わるのかもぜひお楽しみください。またDONUT vol.10にはチバユウスケのドーナツ盤紹介インタビューを掲載します。

―― アルバム『サンバースト』が完成しました。ほぼライブのできない1年があって、これまでと違う制作期間だったかと思いますが、その間のことを教えてもらえますか?

クハラカズユキ 去年の2月、3月あたりから、予定されていたものがバタバタと延期や中止、未定になっていく連続でしたよね。1回目の緊急事態宣言のときはみんなスタジオに入らないで自宅待機して。でも時間ができたってことで、宣言明けてからは「プリプロに入りましょうか」って感じで入れるときはスタジオに入って曲作りをしてましたね。

―― スタジオがあるから完全なる自粛というよりは、音を出す時間はあったわけですね。

チバユウスケ まぁでも何ヵ月かは休んでたよ。休んでたというか家にいたよ。

―― そんなに長い期間の休みはきっと今までなかったものですよね。

クハラ 「ここからここまで長いオフにしましょう」というのとはわけが違いますからね。ふいにできた休日というか。

―― バンド活動と日常生活とのバランスというのはどんな感じでしたか?

チバ もう忘れちゃったな。ただ言えるのは、ここにきて一気に忙しくなってきてさ。「あんときの休みをわけてほしいな」って思ってる。

―― なるほど(笑)。

チバ ライブも延期してたのがどんどん入ってきたりとか、あとから決まったのと(期間が)ぶつかったりしてるから。まぁ言ってもここ何週間だけどね。「あんだけ暇だったのになんで今こんなに忙しいんだ」って。やんなきゃいけないことばっかりやってるよ。いや、ありがたいことだよ?

―― あの期間があったから急にそう感じるのかもしれませんね。

チバ でも、あのライブがない時期がなければレコーディングスタジオに入ってなかっただろうし、あの時期があるからできたアルバムではあるけどね。

―― アルバム制作は具体的にはいつ頃からスタートしたんですか?

チバ 曲作り自体は2019年の冬くらいから始めてるので。その先を見据えて。(世の中が)コロナになるとは思ってなかったけど。

クハラ そもそもオリンピックのあたりにレコーディングしようっていう話はあったんだよね?

チバ そうだ。

クハラ ざっくりそんな話をしていて、それがアルバムに向かうのかどうかは置いておいてだけど。ツアーの合間にそんな予定はあったんだよね。結果、その期間が幅広になったという。

―― じゅうぶんな制作期間になった、と。

チバ 俺はその間にソロも作ってるけどね。

―― そうでしたね。じゃあ夏あたりから?

クハラ 去年の暑い盛りにはもうスタジオにいた記憶がある。6月くらいからプリプロして使えそうな曲はレコーディングして、またプリプロして。ふたつのスタジオを使って録りためたアルバムですね、今回は。

―― アルバム制作に向かう中で、心持ちに変化はあったりしましたか?

クハラ ペースとしては今までと若干違うくらいなんだけど、しょうがないと言ったら語弊があるけど今は人前でできない状況なんだから、その分……っていう感じくらいかな。1枚アルバムを作ってそのツアーを回って、少しすると自然と次に向かっているというか。その頃にやる曲は、順当にいけば次の作品に入る曲だからね。

チバ ツアー途中のライブリハでは、もう新曲をやってるからね。毎日同じリハはつまらないからさ。

―― はい。で、今回のアルバム『サンバースト』がとてもかっこよくて。

チバ お、そう。

クハラ ありがとうございます。

―― 音にも言葉にも現状に対するここ最近の気持ちが強く重くのっていると感じたのですが。

チバ それはあなたの気持ちだよ。俺の気持ちではない。

―― なるほど。

チバ 音楽ってそういうことじゃん。自分のそのときの気持ちが聴いた曲に反応するっていうかさ。「この曲はなんとなく雨の日に似合うな」とか思っても、晴れの日に聴いたら「この曲、やっぱ晴れの日にも合うな」とかさ。そういうことだよ。

クハラ 「世の中がこうなったからこういう音を出そう」というのは毛頭ないからね。

チバ すっげぇ売れる連中って、きっとそういうことちゃんと考えてやってるんだよ。

クハラ いるだろうね。

チバ 「こんなときだから」って。

クハラ 詞の世界も含めてね。

チバ 詞の世界も、音もだよ。

クハラ 音も? 詞の世界ははなっからわからないし、音のこともわからないで20年やってますからね、こっちは(笑)。

―― たしかにThe Birthdayに「世の中に合わせて」みたいに言われても……

クハラ いや、合わせてるかもよ?

チバ ははははは。

クハラ 俺は言葉の世界はわからないからね。

―― 受け取り側の思い次第なわけですね。

チバ そうそう。そういうもんだよ。なんでもそう。それが“強い”っていうことはすごくその音楽がいいってことだし、歌がいいとかグッとくるとか、自分を重ねるとかさ。でも作ってる人間にとっては知ったこっちゃないことだからね。

クハラ いつも大体、歌入れのときに初めて出来上がった歌詞を見させてもらうんだけど、もし(チバが)「こんな時代だからこそ」みたいなことを書いてたらちょっと言うかもしれないね(笑)。

チバ そんな歌どうやって作るの(笑)。

クハラ まんまその字面で(笑)。「こんな時代だからこそ、俺は~」みたいなサビで歌ってたらさすがにね。

―― さすがに(笑)。

チバ よし、今日作ろう(笑)。それだ!

クハラ ははははは。「こんな時代だからこそ、寝て過ごそう」とかだったらいいけどね。

チバ 「こんな時代だからこそ」で思い出したけど、ちょうどコロナが来始めた頃、去年の2月末から3月くらいだったかな。名古屋で(自分の)写真展があったんだけど、タコス屋に行ったらコロナビールが売れない、と。だから全部飲んであげたよ。風評被害っていうの?

クハラ それで売れなくなるって、ねぇ。そういえば東名高速をずーっと走ると、もうすぐ名古屋のあたりで総合レジャー施設のコロナワールドっていうでっかい看板があるんだけど。どうしてるかなーって思うよね。

チバ  へぇーそんなんあるんだ。でもなんかさ、気持ち的に「コロナくれ」って言えなくなるんじゃない? 人ってさ。

クハラ そうだよねぇ。

チバ だからぜーんぶ開けてやった。その店のはね。少し損失を減らしたと思うよ。

―― 全部って何本くらいですか?

クハラ 何本とかじゃないんじゃない? ケース? ダース?

チバ あるだけ全部開けた。

―― そんな社会貢献もありつつ。

クハラ そんときレジで「こんな時代だからこそ」って言ったんでしょ(笑)?

チバ くくく(笑)。

―― (笑)。アルバムの話に戻りますが、まずタイトルの『サンバースト』。最初はてっきりギターのことかと思いました。でもジャケット写真を見てなるほど、と。

チバ うん。もともとの意味がこっちだからね。雲があるところからバッと陽が射して真っ白になってるような、そういうイメージ。

クハラ まぁ『サンバースト』って言ったら少しでも音楽知ってたらギターの方を思い浮かべるよね。

チバ 知らない人には逆にわかりやすいんじゃない? サン(太陽)がバースト(爆発)だからね。

―― 面白いですね、みんなが最初にどちらを思い浮かべるか。曲を聴いて、今このアルバムが届くことが自分にとっての起爆剤になるような、そんな風に感じました。1曲目の「12月2日」。この曲はどんなイメージがあって生まれたんでしょうか。

チバ イメージ?

―― まず12月2日という特定された日付が印象的なので。

チバ ああ。……そこの理由はあまり言わない方がいいと思うんだけど。まぁ、歌詞に関してはこういう風に思ったっていう感じだよ。曲もほとんど一緒にできて。これは早かったな。

―― そうなんですね。

チバ うん。これは12月2日に作ったんだよ。その日に思ったことを言ってるだけ。

―― なるほど、その日にちだったんですね。

チバ 言っちゃった。まあいいんだけど。

―― 「月光」はThe Birthday版の「ホワイト・ライオット」のように聴こえました。

チバ クラッシュの?

―― はい。やっぱり<お前の想像力が現実をひっくり返すんだ>というフレーズがグッときて。クラッシュとは意味合いは違っても、想像力をもつことで見える世界が変わるという部分で、なんとなく呼応しているような。よかったらこの曲を作ったときのことを聞かせてもらえますか?

チバ 覚えてるのは、あんましメロディがないような曲にしようというのは思ってて。で、最初にベースラインを(ヒライ)ハルキにこんな感じって伝えて、アタマのギターの感じをフジケン(フジイケンジ)にこんな感じって伝えて。これは俺がギターを弾いてないからさ。それでみんなで合わせてできた。

―― 想像力、という言葉に関してはいかがですか?

チバ もっと色々想像してもいいんじゃない? 想像というか、思う、とか。難しいけどね、うまく説明はできないけど。やっぱり何か「こうしたいな」って思うことが大事だと俺は思うし。そしたらそうなるかもしれないしさ。

クハラ 想像力は日頃から大事ですよね。

チバ 妄想みたいなもんだけどね。

―― ああ、そうですね。

チバ それでもいいと思うんだよ。よく言うじゃん、野球選手とかでも「いついつにこうなる」って未来カレンダーみたいなのを書いてるって。

クハラ 自分のビジョン?

チバ そうそうそう。

クハラ そこに邁進するっていうね。

チバ そういう個人的なことでもいいと思うんだよ。世の中をひっくり返すとかじゃなくて。……それもちょっとあるけどね。

―― 何かに対して想像すれば、そこに優しさも生まれますもんね。

チバ それはわかんないよ? 「地球が滅びればいいのに」と思う人もいるかもしれないじゃん。すべてがそうなるとは限らないね。

―― 「レボルバー」では<言葉と音に縛られて 生きるのはもうやめようって思った>というフレーズもあります。

チバ うん。でも俺、けっこうこれまでも似たようなこと言ってんだよな。その前にさ、<ドレミファソラシドを超えた 音階が生まれたそんな気がした>っていうフレーズがあるんだけど、それがあるから、もう言葉と音はいらないなって思っただけだよ。……説明上手いな、俺(笑)。

―― はい(笑)。あと、制限が多くなった日常で、心をかき鳴らすような何かを求める思いはあったかな、と。

チバ でも制限なんて絶対にあるわけじゃん。何をやってたって。例えば高速道路で100キロ以上出しちゃいけないとかさ。何もかもリミッター外してよければ面白いけどな。

クハラ 面白くなくなるかもしれないけどね。

チバ そうだな、世界は破滅だろうな。……制限あるのは当たり前のことだよ。免許の更新も行かなきゃならないしさ。

―― チバさん、免許持ってるんですか!?

チバ 持ってるよ。

クハラ 普通二種。うそうそ(笑)。

チバ ははははは。

クハラ タクシードライバーできるね。

―― 自分がそういう今の気持ちでこのアルバムと向き合ってしまったので、どうしてもこういうことを聞きたくなってしまいまして。

チバ うん、それはそれでいいと思うよ。

クハラ 自分が音楽を聴くときもそうだしね。作者の本意なんてわからないわけで。聴いて勝手に勇気をもらったり、勝手に悲しんだり喜んだりできるのが音楽だよ。

チバ それこそ想像力だよ。

クハラ うん。見て聴いた人がいろいろ想像できるのはいいことだよね。ひとつじゃないしね、答えとか受け取り方は。

―― そうですね、明日聴いたらまた違う感想かもしれないし。

クハラ ホントにそうだよ。さっきも言ってたけど、同じメロディでも天気によって悲しく聴こえてきたりするからね。あまりにもピーカンの日にあまりにもハッピーすぎる曲を聴くと逆に悲しくなっちゃうとか。それは自分の心の持ちようで。

チバ あるね。飛行機で聴いたらいい曲だなと思ったけど、帰りの新幹線で聴いたらそうでもないなって(笑)。

クハラ 交通手段ね、あるよ(笑)。面白いよね。

―― 例えば曲作りでもそういうことはありますか?

チバ 毎日変わる! 家に帰って夜中聴いたら「やっぱ違う」とか。でもどっかで決めなきゃいけないもんで。

―― そういうときはどうするんですか? みんなの納得する落とし所というか。

チバ そりゃあもう締め切りだよ。俺は早く決めたい方だけどみんな締め切りまでやるんだもん。

―― もう一回やり直したい、みたいなことも?

クハラ 録ったあとはないよ。大げさかもしれないけど、完璧なものじゃなくていいんです。そのときにいいと思ったもので。そうじゃないとレコーディングなんて終わらないしね。

―― そういえば『VIVIAN KILLERS』のときに、バンドの共鳴度が高まっているとチバさんが話してくれたんですが、今のThe Birthdayはいかがですか?

チバ 最終的には共鳴するんじゃないの? いつかは。というか、曲を持ってったときに共鳴はしてんだよ。ただ、歳とってきて細かいことを決めるのがだんだん億劫になってきてる(笑)。

―― そんなこと言わないでください。

クハラ 俺なんて30前から億劫ですよ(笑)。

チバ くくく。

クハラ レコーディングとか苦手でね。早く終わろうよって思っちゃう。

チバ ははははは!

クハラ 4人いれば個人差ありますからね、四人四様。

チバ 俺はね、仕上がってからは長くやりたいんだよね、本当は。

クハラ ま、そういうタイプもいるでしょう。

チバ こいつはね、2テイクとかでやめるのよ(笑)。

クハラ 妥協ってわけじゃないよ(笑)。でもまあ数やりゃいいってもんでもないし。たいていファーストテイクとかセカンドテイクくらいが(頭が)一番空っぽで叩けてよかったりするんですよ。

チバ たまーにファーストテイクの方が考えすぎてるときもあるよね。

クハラ そうそうそう。予習しすぎちゃってるときね。曲によるんですよ。そればっかりは個人差だから。でもそういう判断が俺は雑。だからあっという間に終わる。

―― クハラさんの判断の早さは前から?

クハラ そうだね。もちろんその先の作業のことも考えるわけですよ。あまりおっぺけペーなことでも困るから、最大公約数くらいでいいかなって。

チバ へぇー。そんなこと考えてるんだ。俺はあれだね、ツアー中のライブリハで合わせてる感じがすべて。ほんとはあの感じで終わりたい。あれが一番かっこいい。そこからあーでもないこーでもないってやっていく間にうんざりするね(笑)。

―― ちゃんとレコーディングしようとすると、いろんな作業がありますもんね。

チバ そうそう。

クハラ みんなその曲をよくしようという目線は一緒なんでね。

―― 目指してるところは一緒ということですね。

チバ 目指してるところは違うんじゃない? よくしようと思うところは一緒。目指してるのはどこなのかは、ずーっとやってるともうわかんなくなるから。……でもそうだな、レコーディングは短い方がいいな!

クハラ 「よくしよう」のベクトルがそろわないときはたまにあるよね。

チバ そりゃそうだね。

クハラ それはしょうがない。

チバ しょうがない。捉え方だから。4人4人の。

―― よしここで、と決めるのは?

チバ それは全員だよ。「これだね」って。最終的にそうなってるからバンドが続いてるんだよ。

―― あと、歌詞のところどころに飛ぶイメージやその先、向こう側、のような言葉もあって。いろいろな意味にもとれるけれど、やはり歌うときには希望というか未来を見据えたものにしたいという思いはありますか?

チバ うん。俺、ずっとそういうつもりで歌ってるよ。30年くらい。

―― はい。でもここ数年はライブで聴くととくに希望や愛を感じます。

チバ そっか。そういえばこの間、真鍋(the NEATBEATSの真鍋“MR.PAN”崇)に「チバくん明るくなった」って言われたよ。

―― 大阪のイベントのときですか?

チバ そう。なんでそんな話になったのか忘れちゃったけど。けっこう真面目な話をしてたんだよ、喫煙所で。そしたら「明るくなった」って。それが愛と関係するのかなんなのかはわからないけど、今ちょっと思っただけ。

クハラ 久しぶりに会う人は何か違いを感じるのかもね。

―― そうですね。で、「ギムレット」がまた名曲で。<おいそこのでくのぼう>という始まりも、<絶滅なんてしない すげー小さな愛が>という部分にも、The Birthdayが醸し出す得体の知れない愛情を感じてすごく好きです。

チバ おう。

―― この曲はどんな風にみなさんで作られたんでしょうか。

クハラ メロディがのるというよりは、リーディングっぽいテイストの曲になるっていう感じでこっちは臨んだかな。

チバ はなからコード進行だけはこういう曲になるっていうのは言ってたね。

クハラ 曲としての場面がいくつかあって、あとは言葉をどうのせるかという。意外にこういう曲の方が手間がかかったりするんですよ。Aメロ~Bメロ~サビというのとも違うというか。だけどいわゆるサビ的なところはあるわけで。

―― こういうリーディング的な曲は、例えばドラムを叩く面で言葉への意識が変わったりしますか?

クハラ 言葉がうまくのって、それこそ場面が変わったときにまたメロディや言葉がガンッとくればいいなってことだけかな。

―― ちなみに“グラホ”は調べるとグランドホステスって出てきましたが……

チバ なにそれ?

―― 空港で、地上での業務を行うスタッフのことらしいですけど、やっぱり違いますよね。

チバ そんなの俺が知るわけないじゃん(笑)。

クハラ 俺はチバの造語だと思ってた。聞くのもヤボかなって。

チバ そうだね。でも意外とハルキは聞いてくれんのよ。「これなんすか?」って。

クハラ ハルキが聞いたなって感じとったら俺もハルキに聞こう(笑)。

チバ はははははは!

クハラ 「なんだって?」って。

―― 違う方のグラホだろうなとは思いつつ、読み取りたくなって調べてみました。

チバ いやいや読み取ってほしいよ、もちろん。前に誰かも同じこと言ってたな。

クハラ これも想像力だね。あとでハルキに聞いておくよ(笑)。

―― お願いします(笑)。

チバ ハルキにまだ聞かれてない(笑)。あ、わかった!“東京上空”って(歌詞に)書いてるから、そんで飛行機のセンが出てくるのか。はーーーーー! なっっっっっとく。なるほどね!! ……じゃあグランドホステスの意味にしよう。

―― いやいやいや。

クハラ ああ、グラホにはグラホのプライドって意味も繋がるわけね。

チバ 飛行機に乗ってるスタッフの方がすごいみたいなことになってるってことか。すげー。俺すごくない? はーーー。なるほど!

クハラ なるほどって言ってるけど違うんでしょ(笑)。

チバ 違う(笑)。

クハラ グランドホステスって言葉を知ってると、それが邪魔になることもあるんだね。知りすぎるのもあれだね。

チバ グランドホステスなんて言葉知らなかったもんな。全部スチュワーデスだと思ってるから。

クハラ 今はキャビンアテンダントね。

チバ そうかCAか。SAしか知らねぇ(笑)。ここの“東京上空真っ黒け”っていうのは、下から見上げてるもんだからね。真っ白だけど真っ黒け。みんなの情念みたいなもんで真っ黒。でもまあ、タイトルを「ギムレット」にしてよかったな。

―― その「ギムレット」から「バタフライ」の流れが素敵ですが、曲順はスムーズに決まりましたか?

クハラ メンバーなりマネージャーなり、みんなそれぞれの思惑を発表しつつね。

チバ 最初の「12月2日」と最後の「ギムレット」「バタフライ」は絶対動かさないでって話してたから、今回は早かったよね。

―― 改めて、アルバムが完成した感想を聞かせていただけますか。

クハラ どんなアルバムになったかはまだ人前で演奏してみないとわからないけど。これからツアーをしてライブをして、体に染み込んで初めて落とし前みたいなものがつくところがあるから。でもまあ、聴いてもらって、それこそいろんな想像をして楽しんでもらえたら嬉しいなと。

―― 作り手としては、アルバムごとに「これはパンクっぽくなったな」とか「ロックンロールになったな」とか、そういう感触は生まれるものですか?

チバ うん。でもそれはツアーをやらないとわかんないんだわ。今はライブ用に歌詞を思い出すので精一杯。プラス、新曲も作ってるので今は新曲のこと考えてるからさ。

クハラ 目先のことでいっぱいいっぱいという。

チバ だってアルバム出るのは7.28でしょ? 俺たちまだ今日、6.29を生きてるんだよ。

―― たしかに。あと今年は最初のリリースから15年、フジイケンジさんが加入して10年になりました。今The Birthdayはどんなバンドだと思いますか?

クハラ 50代3人と30代後半のバンドです。

チバ 歳のことはあんまりどうでもいいけどね。

クハラ そう? 俺は起きるのが億劫になったよ。

チバ 起きるのが億劫(笑)? でも起きるの早いよね?

クハラ 起きちゃうんだもん(笑)。

チバ くくく。まあ10年だろうと15年だろうと変わんないよ。

クハラ うん。音楽をやってる中で、何年経とうがバンドは変わらないね。

―― はい。ツアーも本当に待ち遠しいです。

クハラ まだいろいろあるだろうけど、できるならやりたいからね。もちろん、来てくれるお客さんは神経使うし大変だろうけど。

チバ そうなんだよな。お客さんに何か制限をかけてたり、そういうのが一番いやなんだよな。

クハラ うちらは舞台に上がったらマスクも取っていつも通りにやれるんだけど、来るお客さんが一番制限あるもんね。実は一番解放されなきゃいけないのはお客さんなのに。でも、それでも生演奏を見て少しでもスカッとしてくれるんだったら俺は(ツアーに)行くべきだと思うし、(ライブを)やりたいし。1年前とは状況が違うしね。

チバ うん。行くよ。どんな形になっても行くよ。客が何人だろうと。

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INFORMATION


AL『サンバースト』
2021年7月28日(水) リリース
初回限定盤(CD+Blu-ray)
【CD】収録曲: 01.12月2日/02.息もできない/03.月光/04.ラドロックのキャデラックさ/05.レボルバー/06.アンチェイン/07.晴れた午後/08.スイセンカ/09.ショートカットのあの娘/10.ギムレット/11.バタフライ ※通常盤共通、アナログのみ曲順変更 【Blu-ray】 『GLITTER SMOKING FLOWERS TOUR 2020』LIVE MOVIE 収録曲:ヒマワリ/青空/KISS ME MAGGIE/SOMBREROSE/DOOR/ROCK YOUR ANIMAL/木枯らし 6 号/春雷/プレスファクトリー/24 時/Red Eye/BITCH LOVELY/1977/OH BABY!/COME TOGETHER/オルゴール/くそったれの世界/声/なぜか今日は 「月光」MV ※初回限定盤のみに収録 ※Blu-ray部分プレイパス(R)対応


サンバースト(限定盤)(12inchアナログ)(2枚組)[Analog]
12inch アナログ限定盤(重量盤2枚組)
■DISC-1 <SIDE A>01.12月2日/02.レボルバー/03.ショートカットのあの娘 <SIDE B> 04.息もできない/05.晴れた午後/06.月光 ■DISC-2 <SIDE C> 07.スイセンカ/08.ラドロックのキャデラックさ/09.アンチェイン<SIDE D> 10.バタフライ/11.ギムレット

The Birthday『SUNBURST TOUR 2021』
■2021年9月1日(水)神奈川:川崎クラブチッタ
■2021年9月13日(月)奈良:EVANS CASTLE HALL
■2021年9月15日(水)兵庫:神戸チキンジョージ
■2021年9月17日(金)佐賀:LIVE HOUSE GEILS
■2021年9月19日(日)大分:T.O.P.S Bitts HALL
■2021年9月23日(木・祝)高知:キャラバンサライ
■2021年9月25日(土)静岡:LIVE ROXY静岡
■2021年10月1日(金)北海道:根室HYWATT HALL
■2021年10月3日(日)北海道:釧路NAVANA STUDIO
■2021年10月7日(木)長野:松本ALECX
■2021年10月9日(土)石川:金沢EIGHT HALL
■2021年10月15日(金)福島:郡山HIPSHOT JAPAN
■2021年10月17日(日)新潟:LOTS
■2021年10月20日(水)三重:四日市CLUB ROOTS
■2021年10月22日(金)山口:周南RISING HALL
■2021年10月24日(日)香川:高松festhalle
■2021年11月3日(水・祝)福岡:Zepp Fukuoka
■2021年11月5日(金)広島:広島クラブクアトロ
■2021年11月7日(日)大阪:Zepp Osaka Bayside
■2021年11月14日(日)愛知:Zepp Nagoya
■2021年11月20日(土)北海道:Zepp Sapporo
■2021年11月23日(火・祝)宮城:仙台PIT
■2021年11月28日(日)東京:Zepp Haneda
※ライブに関する情報は公式サイトでご確認ください。
https://www.universal-music.co.jp/the-birthday/news/2021-07-15/
https://rockin-blues.com/thebirthday/


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