DONUT



2021.01.14 upload

THE BOHEMIANS インタビュー

2020年は堂々とサボれたんですけど、2021年はさすがに無理だ。夏にアルバムを出します
―― 平田ぱんだ

「年に一度はザ・ボヘミアンズに会いたい!」という思いだけでメンバー全員の取材をセッティングしてもらったのだが、12月の渋谷クアトロでの有観客ライブに、山中さわおバンドのライブなど、なんだかんだで顔を合わせることになってしまった。12月4日にニューマキシシングル(マキシシングルなんて言葉、まだ通用するのだろうか?)「スーパーソニックロッケンロール」をリリースしたものの、この作品は通販限定。本格的な新作は2021年のお楽しみ。ということで2020年のことや2021年のことを(DONUTの取材では珍しく)フランクな感じで喋ってもらった。

●取材・文=森内淳

―― 先日、久しぶりに渋谷クアトロで有観客ライブをやったんですが、手応えはありましたか?

平田ぱんだ 久しぶりにお客さんがいて楽しかったですね。やりやすかったというか。その前の2回が無観客の配信だったので、それに比べればだいぶよかったかなとは思います。でもまだ中途半端で、まだだなって感じでしたけどね。椅子席で中途半端だったし。こっち的にもそこまで言うほど楽しくはなかったし。

―― 椅子席のライブはそんなに違和感がありましたか。

平田 なんかケチがついてる感じで。これを100点って言ったら駄目だな、と。

ビートりょう たしかにね。本当はクアトロをスタンディングで満員にしてやりたいよね。

―― そもそもクアトロでやろうというアイディアはどこから出たんですか?

平田 (コロナ禍で)客が入れられないから、普段より広めのところでやろうということでした。だけど最初は100席って言われたんだよね。会場選びを間違ったかなと思ったけど、それが200席に増えて。

りょう 椅子ありどころかテーブルありってことになるところだった(笑)。ディナーショーじゃないんだから(笑)。

星川ドントレットミーダウン そもそも渋谷クアトロでやってみたいっていうのはあったんだよね。まぁこういう状況でやったのはちょっと不本意ではあったけど。

りょう 逆にこういう状況だからこそやれたというのもあるかもしれないし。

平田 字面では「クアトロ即完」だからね。

りょう 何はともあれ数分で売り切れたわけだからね。

平田 その字面だけはよかった。

本間ドミノ 席数を考えると即完してくれないとちょっと困っちゃうけど。

―― とはいえ、今回はチケット代もいつもより高かったわけだし。

星川 にもかかわらず200席が即完したということは待っていた人がいたのかなっていうふうに思いましたね。

―― そういう手応えはありますよね。

星川 状況的にも感染が恐い中、来てくれたというのもあるし。

―― 観客がボヘミアンズの音楽を欲している感じは伝わってきました。

星川 声を出せないから拍手の強さと長さでそれを感じましたね。

りょう コロナが明けたらまたちゃんとクアトロでやりたいですけどね。

平田 それを言うなら、コロナ禍のうちにデカい会場を全部制覇しようと思ってる。

りょう それはありだね(笑)。どこまでのデカさまで行けるんだろう?

平田 中野サンプラザとか。

りょう デカっ!

平田 サンプラザは元から椅子があるから、どれくらい入るんだろう。

りょう 半分にしたって1000か……。

平田 じゃリキッドルームくらいまでか。O-EASTくらいまでは行けそうな気がするんだけど。

千葉オライリー コロナが収まるにつれ、だんだん会場が小さくなっていったりして(笑)。

―― 同時に配信もやったんですよね。

りょう 映像がよかったって普段連絡してこない友人が言ってました。

星川 DVDを収録したというのもあったからね。

りょう それもあるよね。

平田 ちなみにDVDじゃなくてBlu-rayだから。

―― 初めてのクアトロ・ライブをBlu-rayに作品として残そう、と思ったんですね。

平田 いや、急に収録することになってた(笑)。

―― あ、そうなんですね。

千葉 配信でカメラが入るんだったらパッケージにしてもいいんじゃないか、みたいな話は配信ライブの都度、出ていたような気がする。

りょう 8月の配信ライブもちゃんと収録したんですよ。

本間 その流れで「クアトロのライブは映像作品になります」って普通にマネージャーから言われました。

平田 撮るんだ? そうなんだ?って。

―― そこで一個ギアが上がったりしたんですか?

平田 そうですね。練習は真面目にやりました。

りょう レコーディングだからね。

平田 セットリストもBlu-ray用に考えました。本当は新曲とかもやろうとしてたんですけど、Blu-rayにするっていうから「あ、やばい」って言って、ちゃんと今までの楽曲で埋めて、全体がちゃんとパッケージングされるようなセットリストにしました。

本間 『BUM』の曲が1曲も入っていなかったのは『BUM』を出したときのDVDがあるから?

平田 意図はしてないんだけどね。たまたまというか。

りょう だけど今まで出した映像作品の中でも、今回のライブが一番いいんじゃない?

平田 確実にそうだね。

―― コロナ禍で思うようにライブができない中、いつもの調子が出ないということはなかったんですか?

星川 でも、スタジオで顔を合わせているし、バンドとしては別に変わってないですからね。ライブをやる回数は減りましたけど、新曲も作ってるし、スタジオで練習もしてるし。そうやって一年間やって来たものがクアトロのステージに出たんじゃないかな。

―― 今回は有観客のライブでしたが、無観客ライブとやってる感じっていうのは随分違うんですか?

平田 全然、違う。

りょう 全然、違いますね。

平田 無観客は虚しいですよ。

―― 虚しいんですね(笑)。

平田 お客さんの反応がわかんないから、すごい疲れるんですよ。

星川 だからライブって言わない方がいいと思うんですよ。収録って言った方がいいと思います。ライブじゃないんです。

りょう なるほどね、たしかに。

星川 ライブハウスでやる生収録みたいな感じなんですよ。

本間 平田くんなんか客の反応を見ながらライブをすすめるタイプだから、けっこう苦労してると思う。

平田 ペース配分がわからない。だから前回と前々回の配信はすっごい疲れた。今回は全然疲れなかった。

―― 当日、マキシシングル「スーパーソニックロッケンロール」をリリースしました。

平田 夏のワンマンが無観客の配信ライブになったんで、それじゃなんか寂しいからシングルくらいレコーディングしようかって録ったんだけど、「シングルをリリースする話はなくなったのかな」っていうくらい待たされて。そしたら12月に売るっていうことになった。

りょう けっこう前に録音は終わってたんだよね。

平田 夏前にレコーディングしたのに。

星川 6、7月くらいかな。

りょう 放置されたよね(笑)。

平田 「これ、売らないことになったのかな?」ってメンバーと話してた(笑)。

―― タイトル通り超音速のロックンロール・ナンバーになりました。

平田 このコロナ禍のタイミングでシングルを出すんだったら、逆に、ライブで暴れてナンボみたいな曲を出したら、嫌がらせっぽくていいかな、と思いました。

千葉 嫌がらせなんだ(笑)。

平田 こんな曲、家で聴いてもしょうがないじゃんって。コロナ禍でライブに行きたくなるような曲にしました。ほとんど嫌がらせですね。

千葉 でも正解だと思う。めっちゃくちゃ速いしね。

星川 今、こんな時期だから、世の中にはアコースティックみたいな曲が溢れているような気がするんですよ。

千葉 今こそパンクなんだよ。

平田 コロナ禍じゃなかったら100%シングルにしない曲だしね。アルバムにも入れないし。

星川 2曲目に収録されている「Mr.12弦マン」がLa'sっぽいちょっとネオアコ的な感じもするんで、そのバランスもいいかなと思った。

―― レコーディングは楽しめましたか?

りょう どうだったっけ?

平田 何も覚えてない。

りょう 平田ぱんだが弾いたギターが「Mr.12弦マン」で初めて収録されているという新しいことがありましたね。

本間 それ以外は覚えてない。

平田 (山中)さわおさんに久しぶりに会ったっていうのだけは覚えてる。

りょう たしかに。

平田 「わー、さわおさんだ」って久しぶりに思いました。「わー、芸能人だ!」 みたいな感じになりましたね。

本間 このレコーディングに対する練習もそんなにガシガシやったわけじゃないし。ほんと数回練習してぱぱっと録って、そのまま盤になったって感じですね。

―― 今回は全国流通盤じゃないんですよね。

平田 ライブの記念品くらいに考えていたので。

―― にしてはジャケットの写真がかっこいいですよね。気合が入っているというか。

りょう 岩佐(篤樹)さんというカメラマンの方が……

平田 今、こういう時期だから無料でバンドマンたちを撮ってるんだって言って、写真も勝手に使っていいって言うんで勝手に使いました。

―― あ、そうなんですね。今回、Tシャツにもなってましたけど、いい写真ですよね。

千葉 やけくそ感みたいなのがちょっと伝わっていいんじゃないかなと思います。

―― そうですよね。それから2曲目の「Mr.12弦マン」なんですけど、これは新しく買った12弦ギターを使って録ったんですよね。ライブでも使ってましたが。

りょう 12弦ギターを買ったという記念で作った曲です。

―― ギターを買うきっかけってあったんですか?

りょう 前作った「ポーラ」っていう曲でも12弦ギターを使ってたんですけど、自分のを持ってなくて。いずれ欲しいなと思ってたんですけど……

星川 何も言わずにスタジオに持ってきたよね。

千葉 どうしたの、それ?って。

りょう でも、メンバーで気づく人と気づかない人がいるんだよね。平田くんはわりと気づかない。

千葉 ほっしーはわりと気づく。

星川 だって楽器が変わってるんだよ。そりゃ気づくよ(笑)。楽器が変わってるのにスルーされるの悲しくない?

―― 今回、導入したのがリッケンバッカーの12弦ギターなんですが。

りょう リッケンバッカーのギターが何でもいいから欲しいというのもあったんで、買っちゃおうかな、と思って。12弦ギターは最高なんですけど、リッケンバッカーは弾きづらいですよ、やっぱり。(古市)コータローさんも言ってますけどね、リッケンバッカーは弾きづらいって。そりゃピート(・タウンゼント)も壊すわって(笑)。でもリッケンバッカーはいいですね。他のリッケンバッカーも欲しいです。

―― 最近はこのCDのサイズだと5曲くらい入れてEPにするんですが……

りょう 今回のCDはマキシシングルなんですよ。

―― マキシシングルってあんまり見なくなりましたよね。

りょう 今回、あえてマキシシングルにしたのは90年代のリヴァイヴァルが終わって2000年くらいがちょうどきてるんじゃないかって気がしたからなんです。

平田 ちょうど20年前か。

りょう そうそう。8センチシングルからマキシシングルに切り替わるのが99年とか2000年のことだと思うんです。だから逆に正解なんじゃないかと思って。今更マキシシングルなんか誰も出さないと思うけど。

本間 こういう話、20回くらいしてない?

星川 時代はまわるから。

りょう 思い出すんだよね、ミレニアムの頃を。

―― 90年代は8センチCDでしたからね。

りょう 8センチは「恋の8cmシングル」でもう出しちゃいましたから。2000年感がちょうど今なんじゃないかと思うんですよね。

―― ということはこのシングルはニュー・アルバムの布石ではないんですね。次作はいつ頃になるんですか?

平田 曲がたまったらアルバムを出してツアーをやろうとは思ってました。曲がないのにアルバムを作るのはやめようと思ってたんで、2020年はなんの予定も立ててなかったんです。

星川 今までは年に一回アルバムを出して、ツアーも必ずやってたんで、2020年はゆっくり新曲を作れるね、みたいな。2枚組のアルバムを作れるくらい、いっぱい新曲をやろうねっていうくらいの話をしてましたね。

平田 曲はあることはあったんですけど、ちゃんとたまってから録るという正しいプロセスにしようと思ったんです。これまではツアーの日程を先に決めて、そこに合わせてアルバムを作ってたんですけど、そうじゃなくしようって。だから2020年はマッタリしてました。なのでコロナでツアーが中止になったとかそういうダメージはあんまり受けてないというか。

星川 4月の時点でどこのライブハウスも押さえてなかったんで。

―― じゃキャンセル料も発生せず。

平田 発生せず。ただ夏の新代田FEVERだけは押さえてあったんです。

―― 夏恒例のワンマンのためですよね。

平田 そうです。本当は配信もやりたくなかったんですけど、キャンセル料を出すのもあれだなあってことで配信ライブをやったんですけど。他のミュージシャンの人たちとか、コロナでやることがなくなって怒りまくってましたけど、僕たちは全然怒ってないですよ。

千葉 そういう意味じゃボヘミアンズらしいね。

りょう それに元々千葉くんは(山中)さわおさんのソロで忙しい予定だったから。

本間 さわおさんのソロ・ツアーってそもそも夏だったんだっけ?

千葉 本当だったら、春とか初夏にツアーに出るはずだったんで、それもあってボヘミアンズの活動ができないねっていうこともあって、元々ちょっと控えめなバンド活動になる予定だったんです。

星川 千葉がボヘミアンズで動けないんだったら、新曲作りに専念しようかって感じだったんですよ。

―― その新曲作りはどんな感じで進んでいったんですか?

りょう 定期的にスタジオには入っていたんですけど、余った時間で作ってきた曲をちょっとやるくらいのペースでしたね。家では常に作ってましたけど。

星川 完成していない曲が多いんですけど、断片的なネタみたいなものはめちゃくちゃあるよね。

平田 アルバムを出そうと思えば出せるくらいはある。

りょう 2021年は2枚出ますよ(笑)。

平田 2枚出そうよ。全国流通盤でしっかりしたボヘミアンズのアルバムと思いっきりパンクに寄ったみたいな……

りょう 悪いやつね。

平田 悪いやつを通販にしようかなって考えてます。

りょう それもありだね。

―― おお。そこまでのビジョンがあるのは何とも頼もしいですね。

平田 それは今、勝手に言ってるだけなんだけど(笑)。そうなったらいいなって。

―― なんだ、そういうことか(笑)。

星川 実際、初めて聞いた(笑)。

千葉 初耳が多い(笑)。そう思ってたのか、みたいな(笑)。

りょう だけどこういうインタビューで決まっていったりするんだよね。

本間 今日インタビューをやってよかった(笑)。

千葉 インタビューをしないとまとまらないから(笑)。

りょう ミーティング兼インタビューみたいなもんだから(笑)。

―― だけどそれはいいアイディアですよね。

りょう たしかに。

星川 それぐらいネタはいっぱいあるってことだよね。

りょう あるよね。

星川 それくらい遊べるくらいの量はある。

りょう うちはボス(山中さわお)がああいうペースで曲を作っているので、あのペースに追いつけない人はサボってることになるんで(笑)。

―― 山中さんは2020年50数曲作って、アルバムとEPで8作品リリースしましたからね。

星川 2021年、2枚組を出さないと帳尻が合わない。

りょう 2枚出しても合わないよ(笑)。

―― じゃ2021年は確実にアルバムが出るということですね。

平田 アルバムを出さないとサボってると思われる。2020年は堂々とサボれたんですけど、2021年はさすがに無理だ。夏にアルバムを出します。

―― 春ぐらいにはレコーディングしないと間に合わないですね。

星川 だからほんともうすぐですよね。

平田 いっぱい曲がありすぎてどの曲から仕上げればいいのかみたいな話にもなってきそうですね。候補がたくさんあるから。

―― アルバムが楽しみですね。最後に2021年に向けて一言ずついただけますか。

本間 いつも新しいアルバムが一番いいアルバムだと思えるように作ってるんですけど、またそれをするっていうことじゃないですかね。一番いいアルバムを2021年に出せるようにがんばります。

千葉 2020年は楽しむ機会が少なかったので、2021年は本当に楽しみたいなと思います。

星川 この状況がよくなるように精一杯祈ります。ライブで会いましょう。

平田 真面目にやります、2021年は。2021年こそ。真面目に生きた年は今まで生きてきた中で一回もないので、2021年からはちゃんと真面目に生きようと思います。

りょう 2021年も、ボヘミアンズ、どうか一つ、長〜い目で……小松政夫さんが亡くなったから追悼の意味で。

全員 あ〜。

星川 全然、わかんなかった(笑)。

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INFORMATION


マキシシングル「スーパーソニックロッケンロール」
2020年12月4日(金)ライブ会場&通販限定リリース
収録曲:1.スーパーソニックロッケンロール 2.Mr.12弦マン
THE BOHEMIANS SHOP:http://the-bohemians.shop-pro.jp/?pid=156003883


※LIVE INFORMATION は公式サイトでご確認ください。

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