DONUT

2021.01.09 upload

SCOOBIE DOインタビュー

お客さんが目の前にいなくても、それを感じられると僕ら側の100%がさらにでかくなるんですよね。 ―― コヤマシュウ

非日常的なものを提供するというクリエイトの仕方もあると思うんですけど、それは今じゃないなという。それよりも今の空気を確実に記録したいなと思います ―― マツキタイジロウ

2020年1月にDONUTでスタートしたポッドキャスト「Talkin’Rhythm&Blues」。SCOOBIE DOのコヤマシュウ(vo)とマツキタイジロウ(gt)のユニット「SCOOBIE TWO」のコンビが音楽談義やそうでないことを話すおよそ20分の番組だ。本当はSCOOBIE DO結成25周年を記念して1年間限定で配信するつもりだったが、2020年3月、日本でも新型コロナが蔓延。SCOOBIE DOも準備していた数々の25周年記念のイベントをことごとく中止せざるを得なくなった。コロナ禍でいろんなバンドが有観客ライブから無観客の配信ライブへとシフト。SCOOBIE DOも7月から毎月のように配信ライブを行っている。今回はポッドキャスト開始から1年の節目に、未曾有の事態の中で「ライブチャンプ」は何を思い、これからどういう心持ちで活動をやっていくのかを訊いた。インタビューイはもちろんコヤマシュウとマツキタイジロウのSCOOBIE TWOだ。

●取材・文=森内淳

―― ポッドキャストを初めて1年が経ちました。

マツキタイジロウ 僕らにとってもいい句読点になったというか。バンドの活動がままならなかった分、ポッドキャストがあったんでね、リモートとは言え、2人で顔を見合わせて話をするというのは、自分のモチベーションというかペースを維持するにはすごくいい機会だったし、面白かったですね。

コヤマシュウ 一応、番組ですっていう体で話してはいるんですけど、向かい合って「最近、どうなの?」って話をすることが今までもあまりなかったんで、その感じに自分でもウケちゃって(笑)。

―― (笑)。

コヤマ なんかいいなあ、みたいな(笑)。

―― 2人のソウル観とかファンク観をあらためて言葉にしてもらう面白さがこのポッドキャストの一番の特徴だと思っています。

マツキ 考えてみたら、高校の頃に、お互いがそれぞれ知らない音楽をカセットテープに録音して交換しあって、それについていろいろ話したりしている延長でバンドが始まってここまで来てるんで。考えてみると、ポッドキャストではその頃と同じことをやっているんですよね。ところが、僕らにとっては普通の話でも、他の方に聴いてもらうことによって面白いものになるんだなっていう。そこは僕らも気付かされたところはありますね。

―― トークのテーマはどうやって決めているんですか?

コヤマ 「こういう話をみんな聴きたいのかな?」っていう感じではあんまり喋ってないんですよ。

―― あ、そうなんですね。

コヤマ 収録の日に「こういう話ってどうかな?」って言ってみたり、「これとこれの告知はやって、あとは適当でいいか」「じゃそうしよう」みたいな感じなので、かえってそれが2人が今まで思ってたことや普段思ってることが素直に出ているのかもしれないですね。

―― 楽屋ではソウルとかファンクの話をしていたりするんですか?

マツキ たまに出ますけど、このポッドキャストをやって、久々にそういう話をじっくりしているような気がしますね。やっぱこういう話は楽しいよね。

コヤマ 楽しい、楽しい。

―― 洋楽の話はもちろんですが、和モノのファンクの話も面白かったですね。

マツキ 僕らはそこを当たり前に通ってきるから「今、こんな話をしても古臭いのかな?」というくらいの気持ちもあるんですけど、話を始めたらやっぱり面白い。というか、「何回話しても面白いな、こういう話は」って思いますね(笑)。

―― ポッドキャストで言うと、TBSラジオ「アフター6ジャンクション」の「初単行本『KING OF STAGE ライムスターのライブ哲学』発売記念!『ライブのMC』は大事だよ 特集 〜 バンド編」に出演したときの話も面白かったです。

コヤマ 本番直前の控室で雑談している段階で、ディレクターの人が「あ、今日はもう面白い放送になるな」って言ってくれて。あんまり喋りすぎるとあれだからちょっととっておこうなんて言って(笑)。そうやって本番に臨んだらすごい評判がよかったんですよね。

―― ポッドキャストを聴いたあとに「アフター6ジャンクション」を聴いたら面白さが倍増でした。

コヤマ ポッドキャストはリーダーの解説もあって別の角度から入ってますからね。続けて聴くと立体的に楽しめるという(笑)。

―― コレクターズのポッドキャストとは違う面白さがあるんですよね。

マツキ そうやって面白いと思われる方が一人でもいたら、僕らとしては御の字で(笑)。

コヤマ SCOOBIE TWOも今年は配信で3本ライブができたんですけど、ポッドキャストで話題になった和モノのファンクを「これは面白いんじゃないの?」ってやれたから、SCOOBIE TWOのライブ活動にも影響しているんですよね。なんか面白かったですね。

―― 2020年、SCOOBIE DOは配信ライブを精力的にやりました。

マツキ そうですね。7月からですけど、基本的には月イチで。

コヤマ 半年くらいやってるんだよね。

―― 7月以降ということは配信ライブを始めるまでしばらく時間があったんですね。

コヤマ たしか3月1日がコロナ前の最後のライブだったんですよね。その1週間後に僕らのイベント「Young Bloods」を新代田FEVERでやる予定だったんですけど、今以上にコロナの状況がわからないというか、得体が知れなかったので中止の判断をして。その代わりにFEVERの方から「配信ライブをやれるんですけどどうですか?」って話があったんだけど、ライブの代わりに配信ライブをやりましょうっていう気持ちに当時はなれなかったんですね。

―― それはどうしてなんですか?

コヤマ 僕らは独立してから14年くらい、ずっとライブをやりつづけながら走ってきたわけで「これから配信でやっていきます」と言うのが悔しくて。ライブで走ってきた自分に顔向けできないというか。なんかそういうふうに思ってしまったんです。

―― 気持ちの整理がつかなかったわけですね。

コヤマ メンバーは「ファンの人も心配しているだろうし、配信という形でも出ていって演奏するのはいいんじゃないか。SCOOBIE DOの音楽をやるわけだから、テレビ番組に出るのだって一緒だし、全然いいと思う」って言ってくれてたんだけど、なかなか俺の気持ちが追いつかなかったんですよ。

―― 配信をやろうと思ったきっかけって何かあったんですか?

コヤマ それはね、3月27日だよね?

マツキ そう27日。

コヤマ ファニコンっていうアプリでやってるファンクラブがあるんですけど、ファニコンで「ライブを止めるな!」というキャンペーンをやっていて、その一環で「SCOOBIEさん、ライブをやってくれませんか?」って話があって。ちょうどその頃、ますます先が見えなくなってきていたんですね。

―― 状況は悪くなっていく一方でしたからね。

コヤマ そうなったときに、それで今までライブを楽しみにしていた人たちが少しでも楽しめればと思ったんですね。形は本来のライブとは変わるけど、SCOOBIE DOの音楽を全力でやるということに関しては変わりないから、やってみようということになったんです。

―― 無観客のライブは実際どういう感覚なんですか?

マツキ 僕は楽器があるので、シュウくんよりもそんなに抵抗がないんです。楽器に集中すればいいから。だけど、歌う人ってやっぱり目の前にいる人に向かって歌うっていう気持ちのほうが強いと思うので、そこにはメンバー間でも差があったと思います。

―― コヤマさん、どうだったんですか?

コヤマ ライブができなくなってより思ったんですけど、バンドのライブって100%で成り立っているわけではなくて、200%で成り立ってて、100%は自分が楽しいからやってて、残りの100%はライブに来た人とか好きだって言ってくれる人のためにやってるんですね。無観客でも100%は絶対に自分で楽しめるんですよ。あとは、お客さん側の100%を可視化できるかできないかとか、感じられるか感じられないかということであって、お客さんが目の前にいなくても、それを感じられると僕ら側の100%がさらにでかくなるんですよね。

―― なるほど。

コヤマ リーダーが別の企画で久々に有観客ライブをやったとき「なんかスイッチ入るんだよな。無いスイッチまでがんがん入っちゃったりする」って言ったんだけど、結局は無観客でもこの部分を感じられるかどうかだと思うんです。そんなふうな気持ちでやっていますね。それに、まったくの無観客ではないんですよ。

―― というと?

コヤマ カメラマンさんとかPAさんとか照明さんとかもいるわけだし。配信ライブは、主にグレープフルーツ・ムーンっていうライブハウスで7月からやってるんですけど、常時5〜6人のスタッフの方がいるんですよ。

―― たしかにそうですよね。

コヤマ 例えば、カメラマンの人とか、もちろん仕事で僕らのことを撮っているんですけど、僕らの音によって、仕事を超える瞬間があるんですよね。

―― それはいい話ですね(笑)。

コヤマ ライブの終盤になって僕らの温度がぐーっと上がっていくと、今まで冷静だったカメラマンもかぶってたキャップをぬいで迫ってきたりして(笑)。それがすごいエモいなあと思って(笑)。グレープフルーツ・ムーンでは年に一回くらいしかやってなかったから、店長さんとちょっと話すくらいで、そんなにスタッフの人とは顔見知りでもないんですよね。でもこうやって毎月やっていくと、連帯感じゃないけどそういうものが生まれてくるんですよね。

―― それがポッドキャストで言ってた「年忘れリクエスト・ベストテン!」のときのナイスなカメラワークにつながるんですね(笑)。

コヤマ そうそう(笑)。今回はああしようこうしようとかいろいろ考えてくれて。

マツキ 「毎回、SCOOBIE DOをどうかっこよく撮るかっていうテーマで打ち合わせをやってるんですよ」ってスタッフの方に言って頂いて。毎回、クオリティが上がっているんですよね。

―― 毎回、テーマを決めて配信ライブをやっていますよね。

マツキ おそらく毎回見てくれる人もいるだろうから、そういう人たちを絶対に飽きさせないようにコンセプトを打ち立てようと思ったんです。

―― ファンク縛りの配信ライブ「Funki”S”t Funk-a-lismo!」が印象に残っています。

マツキ あ、そうですか!?

―― 本領発揮感が半端なかったですね。

コヤマ 嬉しいな。

―― テーマを決めるのは大変ですか?

マツキ 毎回、頭を悩ませてるというか。メンバーの誰かが考えたことをそのまま実現することが多いんですけど、違うコンセプトであと何本やれるのかな?って思ってるんですけど。だんだんネタがなくなってきてる(笑)。

コヤマ そうなったらVolume2が出てくるんで(笑)。

―― 毎月、配信ライブをやっていく中で「Alive Song」と「同じ風に吹かれて」という新曲を2曲リリースしました。

マツキ 2020年はアルバムをつくろうと思っていたんですよ。リリースは2021年になるとしても、アルバムをつくるつもりで自粛している最初の頃は家で曲をさんざんつくってたんですけど、時間が経っていくうちにリアリティがないなっていう感じがしてきちゃったんです。

―― というと?

マツキ コロナの終わりが見えない状況になってきて、今、この世の中を反映していない曲をつくってる場合じゃないなっていう思いがすごく芽生えてきて。3月にライブをやめようと言ったときに、絶望的な気持ちになったんですけど、そういう気持ちも曲に込めたいなと思って、それでアルバムを目指していたその手を一旦止めて、2020年を記録しておく曲をつくろうと思ったんです。それが「Alive Song」で、それから「同じ風に吹かれて」ができて。それを両A面シングルとして出したという感じなんですよね。

―― そういう意味では創作ってひじょうに難しくなりますよね。

マツキ 非日常的なものを提供するというクリエイトの仕方もあると思うんですけど、それは今じゃないなという。そういう思いがすごく大きかったので、今の空気感、2020年の空気を確実に記録したいなと思ったんですよね。

―― 同じことをザ・コレクターズの加藤ひさしさんも言ってました。本来なら還暦を迎えるにあたって、今まで自分が影響を受けてきたものを歌にしようと思っていたのに、今、こんな歌を歌っている場合じゃないなと言って、歌詞を全部書き直したそうです。

マツキ そうそう。そんな感じです。まともにやっている人はたぶんそうだと思うんですよね。本当にね、時代が変わっていくんだなということをすごく思っていて、その中で一番早く変化を求められているのが僕らのようなエンターテインメントの世界なんですけど、これからは僕らだけじゃなくどんどん他の業界にも変化が求められていくと思うんですよね。そのときに自分たちで何を以てやるか、何を求めてやるかとかいったことが大事かなと思っているんですよね。

―― 新しい価値観が必要になってくる、と。

マツキ 今まで通りに戻るまで何とか耐え抜こうというのは一番ナンセンスかな、と。戻れたらいいんですけど、戻ることはないのかなと思いながら、何か次の一手というか新しいものを探し続けていくしかないのかなってすごく思いますね。

―― 2021年はそういう時代の空気が影響していきそうですね。

マツキ 曲作りに関してはすごく影響を受けてくると思うんですけど、バンドの活動としては具体的なアイディアがあるかと言ったらまだ全然見つからなくて。配信ライブをやりながら、今までつくったことがないようなグッズをつくったりしながら探っていくしかないですよね。「これだ!」っていうのはなかなか見つからない。ライブをやってなんぼっていうところで活動してきましたからね。

―― テイラー・スウィフトなんかはライブをやれない分、がんがん曲を作ってアルバムを出すという恐ろしいことをやってますけど、そういう方向にシフトするとか?

マツキ 今までだったらアルバムを1年か1年半に1枚出して、それを宣伝して、リリースして、ツアーをまわってというのがひとつのタームだったんですけど、それはこの先、違うのかなって思っていて。というのも、ツアーがままならないとなると、アルバムをつくってそこにお金をかけて宣伝していくという意味があまりなくなってしまうんですね。となると、CDになるのか配信になるのかわからないですけど、何ヶ月おきかに定期的に1曲ずつ新曲が出て、それを聴いたファンの人たちがライブや配信で確認してもらうということを重ねていこうかなとは思っているんですけどね。

―― その新曲がある程度たまったところでアルバムというパッケージにしよう、と。

マツキ そうですね。だから曲を量産しなきゃとか、あまり焦っていないというか。それよりも1曲ずつ噛み締めて聴いてもらったほうがいいのかなっていうふうに思うんですよね。ポジティブに考えれば、何も見えない状況も生きている中でそんなにない経験かなと思うし、僕らほど混迷している職業もないと思うので、実験台じゃないですけど、やれることを模索しながらやっていこうと思います。

―― コヤマさんの2021年はどうなりますか?

コヤマ 2020年の一年で、僕は音楽が好きだなって思ったし、バンドも好きだなって思ったし、ライブも好きだなって思ったし。今まで自分が好きだったことが今まで以上に好きになったから、その部分はね、絶対やりたいと思ってるんです。だからSCOOBIE DOもSCOOBIE TWOも2021年はやれる限り全力でやろうと思ってます。

―― そう言えばポッドキャストでSCOOBIE TWOも積極的にやるっておしゃってましたよね。

マツキ そうですね。

コヤマ 配信もやりつつ、地方もまわれるところはまわろうかな、と。

―― あ、いいですね。

マツキ 2020年に本当はツアーに行く予定だったんですよ。

コヤマ それが駄目になっちゃったんです。

マツキ リベンジはしたいなとは思ってるんですよ。

コヤマ 2020年に配信ライブをやってみて、SCOOBIE TWOでこういうことをやると楽しいなっていうのが見つかったから、それをまたね、生のライブでやったら楽しいんだろうなと思います。



© 2021 DONUT

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INFORMATION


「同じ風に吹かれて / Alive Song」(両A面シングル)
2020年12月9日(水)リリース
収録曲:1. 同じ風に吹かれて 2. Alive Song 【Bonus Tracks】 3. Come On Now! 4. No.3 5. Eの循環 6. くもり空のベイビー 7. December Song 8. 夜明けよ急げ 9. きまぐれ天使 10. Oh Yeah! 11. 悪い夢 12. Little Sweet Lover/ Live@新代田FEVER2020.09.30


通販サイト『BELIEVE MUSIC STORE』にて通販限定販売中。
URL:https://believemusicstore.com/?pid=155975425


「どんな今も必ず明日へ繋がるだろう」。 同じ時代を生きる全ての人へ贈る優しくも力強いメッセージとソウルフルなグルーヴ「同じ風に吹かれて」、 「生きることに取り憑かれていよう」と高らかに歌うライヴアンセム「Alive Song」、 2020年のSCOOBIE DOを象徴する2曲のダブルAサイドシングルに、 9/30に新代田Feverにて行われた無観客配信ライヴの模様をボーナストラックとして収録。


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