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2020.04.07 upload

爆弾ジョニー インタビュー
自分らだけでスタートして、ここからまた学んでいくことも知っていくこともあると思う。だから1回リセットされたのかも
――りょーめー

爆弾ジョニーが結成10周年という節目のアニバーサリーイヤーに突入した。デビュー前に話を聞かせてもらったインタビューを振り返ると、5人の少年でスタートしたこのバンドのはじまりは“バンドごっこ”だった。そしてリスナーの胸をズドンと射抜くグッドメロディで周りをドキドキ・ワクワクさせながら、いつしか彼らは無敵のパワーを放つ“バンド”になった。その後、突然の活動休止〜再始動という紆余曲折を乗り越え、現在はメンバーのみですべてのバンド活動を行いながら今に至る。正直なところ、リスタートしてからの彼らのライブは良くも悪くも波があった。「爆弾のパワーはこんなもんじゃない」と勝手に悔しくなったり、「これだこれだ!」と心の中でガッツポーズをしたり、ライブを見るたびに様々な思いが膨れ上がった。そんななか、昨年の冬に久しぶりに見た爆弾ジョニーは歌の力をめいっぱいフロアに届けていた。そんな5人の姿に2020年の活動も楽しみだなと思っていたところ、「爆弾ジョニーのことを話しておきたい」とりょーめー(vo)から連絡があった。2020年は結成10周年でいろいろなイベントを企画中とのこと。9月にはニューアルバムをリリースする予定だという。アグレッシブに活動をつづける現在の爆弾ジョニーについて、りょーめーに語ってもらった。

●取材・文=秋元美乃/森内淳


※DONUT編集部より:コロナによるライブ活動自粛前に行ったインタビューの為、文中のライブ予定に変更がある可能性があります。随時最新情報をご確認ください。


―― 爆弾ジョニー、今年は結成10周年なんですよね。

りょーめー そうです。僕、年明けて今年10周年だって気づいたんですよ。でも今のメンバーが揃ってからは8年なので、2年後にまた全員揃った10周年をなにかやろうかと思ってます。とりあえずは節目なので、ちょっと考えてるんですよね。爆弾ジョニーのあり方とか、何をどう活動するかとか。

―― バンドの近況としては?

りょーめー 今は、もろもろの活動を全部5人でやってます。で、以前にレコーディングしてお蔵入りになっている音源が20曲くらいあるんですよ。でもそれはリリースできないってことで、自分らでまた新しく8曲くらい録って、ライブ会場限定で発売するツアーを昨年末からやってました。それを踏まえて、やっぱり全国流通した方がいいなーと思ってて。秋頃に、10周年のCDを出そうというのは話してる感じです。どうしてもそのお蔵入りの音源から入れたい曲があるから、ちょっと前まで一緒にやってくれていた大人の人たちになんとか交渉しつつ。レコーディングは4月か5月に予定してますね。うん。

―― いろいろ決まってるんですね。

りょーめー いろいろあるんですよね、自分らで(バンドの運営を)やるようになってから。CDを作る、ライブをやるっていうことも、前はメンバー以外に決めてくれてた人もいたから考えなくていいこともあったけど、今は自発的にやらないとないので。作品づくりプラス、ライブやリリースと考えていった時に、誘われるライブももちろんあるけど、自分らから企画もやった方がいいなと。だから10周年の企画として、まずは4月から7月まで、新宿レッドクロスで「月刊爆弾ジョニー」を2マンでやります。で、夏にワンマンをやろうと思ってます。あと9月にリリースを考えていて、そのタイミングくらいで大阪・名古屋でも企画ができたらって。3マンとかになるかな? そのあとは11月に大きい企画をやりたくて。これは爆弾を再開した時にいったん考えてたんですけど、ピロウズやa flood of circleとか、メンバーがサポートでお世話になったバンドや自主企画に呼んでくれたバンド、イベントに誘ってくれたけど。タイミング悪くて俺らが出られなかったバンドとか、縁のある人たちにを誘って対バン企画をやりたいなと。それから12月には誕生日前夜祭的なイベントを予定してます。いま仮で11月のイベントを「ぐるぐるカーニバル」って言ってるんですけど、来年からは毎年12月にその「ぐるぐるカーニバル(仮)」をやりたくて。とか、他にもいくつか考えてますね。

―― 盛りだくさんですね。

りょーめー とにかく、いろいろ対バン企画があるよって感じです。

―― 10周年ということを抜きにしても先々の予定をこれだけ見据えているということは、りょーめーさん的に爆弾ジョニーに対するモチベーションはあがって活動できてるわけですね。

りょーめー うん、そうなんじゃないかな。とりあえず今年は10周年記念だからこれだけ企画があるけど。来年以降は「ぐるぐるカーニバル(仮)」以外はまだ白紙で。

―― 今、りょーめーさんにとって爆弾ジョニーはどういう存在なんですか?

りょーめー 人によく言われるんだけど、僕にとって爆弾ジョニーって「実家」なんすよね。自分の中の拠り所っていうか。本当の実家がないから、なおさらそう思うのかもしれないけど。でも、例えば知らない人に向けてゴーンと開いてるわけではないです。それは良くも悪くも。閉じてるよさもあると思うんで。新しくマンズ(SAMURAIMANZ GROOVE)をはじめて、そっちは開けてるけど、爆弾は今までの10年があるから。でも、閉じてると言ってもネガティブな要素は何もないですけどね。自分らより売れてるバンドとも対バンするけど、それって爆弾に自信を持ってるからだろうし。

―― 今、りょーめーさんは爆弾ジョニーをやる気は十分にある、と。

りょーめー たぶん、事務所に入っていた時は利益という目的があって、利益に対してのやる気が出てる時・出てない時はみんなそれぞれあったと思う。そういう意味で、今は「利益=やる気」とはならないんですけど、でも、うーん……ある! やる気はある。といか、何かひとつのものに対してのやる気が出ることがあまりなくて、基本的に「生きることに対してのやる気があるかないか」だと思うんです。だからやる気が出ちゃえば全部ちゃんとやります。なくなったら全部無理です、ってなっちゃう。それで爆弾も休止したし。再開した時は俺がきっかけで再開したわけじゃなくてキョウスケがみんなを集めて再開したんですよ。俺はあの時、「俯瞰して学ぼう」とした時期だったと思う。だけど、今は無理してやろうとは思ってないし、メンバーみんな自分のためにしかやっていないです。それはそれですごくいいと思う。それが以前と変わったところです。

―― いい意味でも悪い意味でもいろいろと背負っていたものがなくなったというのがあると思いますが。

りょーめー なくなったというか、今はいらないです。もともとなかったようなものだし。バンドをはじめてから休止するまでの爆弾って、無知で何も知らないからできたなって。何も勉強しないし世間知らずの5人がやってて。それが1回ダメになって再開した時に、世の中の塩梅やバランスを俺が意識しはじめちゃって、探ってたのはありました。その探りをやめたっていう感じはある。背負っているものがなくなったというよりは。バンドメンバーじゃない大人の人たちは仕事だし立場も違うんだけど、まわりがどういう仕組みで動いているのかとか知った上でメリットがあることをやろうよ、と思ってたから、以前は。考えすぎちゃったんですよね。そうじゃなくて、会社の人たちにも僕らバンドにもそれぞれの世界があるけど、でも世界ってその2つだけじゃなくてここにもそこにもあって。それを、会社の人の1つの世界だけを通して見るのは窮屈な考え方じゃないですか。立場が違う人、それぞれの世界がある分、それぞれの正解もあるんじゃないかな、と。

―― じゃ今は無理せずやりたいことだけをやろう、と。

りょーめー 最後に以前の事務所の社長とサシで話した時も「とりあえず、りょーめーが好きなようにやってみろ」って言われたのもあるし。やってみないと何も起きないし。自分の人生に楽しいことは、自分が何かやらないと絶対にないから。外から来たものをどう楽しむかというマインドも大事だけど、その勉強はもうし終わった(笑)。自分から楽しんで行った方がいいというのを、10年目にしてやっとわかったというか。それに、メンバーが5人もいたら、一致団結なんて難しいんですよ。各々の世界があるから。その中で5人そろって壁にぶつかって初めて一致団結するもんだと思うんです。それでいいじゃんって。

―― なるほどね。

りょーめー このあいだ親父が死んで、その時にパーンと吹っ切れて。「どうせ死ぬんだなー」って。だったらあまり考えない方がいいなって。考えて何もできないよりかは……。今回これだけ動いているのも10周年だから企画やろうぜってだけだし。そこに理由はいらないし、何も背負う必要もないし。目標みたいなものもないです。実行する最低ラインが、目標に向かって行くというよりも、今は「好きな人たちと対バン企画をやろう」ってことだけですね。その他はやってることについてくるものだと思うから考える必要もないと思ってる。今は(事務所を離れて)自分らだけでスタートして、ここからまた学んでいくことも知っていくこともあると思う。だから1回リセットされたのかも。

―― 爆弾ジョニーとSAMURAIMANZ GROOVEを同時にやることに関してはどう思ってますか?

りょーめー マンズで楽しいことをやってやる気を出して、爆弾に反映できたらよくない?って。ちょうどマンズのライブがあったあと、去年の秋くらいに爆弾ジョニーのキーになったライブがあったんです。ビレッジマンズストアに誘われて名古屋に行ったんですけど。その時に久々にバンドで遠征したんですよ。レンタカーを借りてメンバーだけで名古屋に行って、ライブして。それがすごく楽しくて。あのライブはデカかったな。

―― マンズは昔りょーめーさんがよく言ってた「バンドごっこ」を始めた頃に、いい意味で近いような印象もあります。それが爆弾ジョニーにいい影響を与えているのかもしれませんね。

りょーめー ああ、そうかも。爆弾は「バンド」になっちゃったんですよ。でも、今は全部自分たちでやって自分たちで運転して遠征に行って、今はすごく勉強になってますね。達成感も実感もあるし。

―― メンバーのみなさんもサポートを経験したりしてプレイヤーとして腕をあげてますもんね。

りょーめー うん。みんな爆弾以外の何かがある上で、今、爆弾をやってるから、いい感じに回ってきてるように感じます。爆弾ジョニーって普通の人が集まったバンドなんですよ。最初はそうじゃないように見せてた部分もあったけど、でもそんなことなくて、普通の5人が集まったバンドなんです。活動再開してからは、そういう普通の俺らを見せてきたと思うんですね。だから最初の頃の爆弾が好きなファンは離れていっただろうし。でも、今の爆弾を好きになってくれる人たちもいるんです。

――「爆弾ジョニーはこんなもんじゃねえよ、見てろよ」みたいな気持ちはありますか?

りょーめー いや逆に「こんなもんで許せ、世の中よ」と思ってます(笑)。「俺らこんなもんだよ」「そんなに求めんなよ」って。これは爆弾を知った人、全員に言えるけど「これ以上なんもねえよ」って。あの無知だった頃の5人には戻れないし、かと言ってこれと言ったものもないから、「今の俺ら」でやるしかない。

―― 最近の爆弾ジョニーの曲作りはどんな感じなんですか?

りょーめー 僕たちは「やさしい世界」っていう名前でアコースティック・ユニットをやっていて、新曲が出来たら、そこを1回通過するんですよ。曲を持ってきた人が弾き語りで「やさしい世界」で歌ったりして、その中でバンドでやってもよさそうな曲を爆弾でもやってますね。だから「やさしい世界」のライブが入れば入るほど、爆弾の新曲が増えていく(笑)。1回アコースティック・ユニットを通過するというのは、我ながらうまいやり方を考えたと思う。それに「やさしい世界」はフルメンバーじゃなくてもいいんですよ。その時できる人でやっているので。「やさしい世界」は俺がいなくてもいいんですよ。例えばキョウスケと安田だけでもせいいわけだし。「爆弾ジョニーだけを売り出したい」という頃は、自由な形で「やさしい世界」はできなかったし。今は自由だから。

―― 歌うことに関して、今、思うことはありますか?

りょーめー 今、人に聴いてほしいとか何かを伝えたいというのはないです。諦めてます。でも、誰にも伝わらなくてもいいんだけど、自分が死んだあとにも歌は残るじゃないですか。そうなった時に悔いのあるものは残したくないから、ちゃんと自分がやりたいこと、楽しいことをやった歌だけ残したいと思っています。あと、自分がいいなって思う若い人とか出てきた時に、自分の歌を聴いてもらって何か思ってくれたらいいな、とか。自分の歌を興味を持って語り継いでいってほしい、じゃないけど、検証する人が現れてほしいとは思ってます。僕がそうだったから。フィッシュマンズの佐藤(伸治)さんや(ボ・ガンボスの)どんとさんみたいに。今すぐどうこうというのは全くないけれど。

―― デビュー前に「歌うなら大きい声で、根本的なことを、大きい規模で歌いたい」と話していましたが。

りょーめー たぶん、それは消えてはないし、もともと自分が持っているアンテナとかセンスだと思うんだけど。ただ、そこに固執はしてないですね。10年やってきて、それ以上に自分が思ってることもあるし。でも曲を作る時のテーマとかは変わってないですね。やっぱりいくら大きい声で歌っても届くのに限りはあるから、聴いた人が誰かに伝えるようなものなんだと思う。大きい声で歌ってるだけだったら、俺が死んだら終わりだし。基本的に「病み体質」だから、根本的なことを歌うのはずっとあるんじゃないかな。でもね、小さい声で歌うのもいいと思います。大きい声は自分のことしか言えないけど、小さい声は人に寄り添えるから。

―― 10周年イヤー以降の活動は考えていますか。

りょーめー 来年以降のことで考えてるのは、爆弾ジョニーを10年やってきて出会った人たちで、メジャーとかアンダーグラウンドとか関係なくつながるイベントがやれたらいいなと。

―― 架け橋的な?

りょーめー うん。どっちも好きだし、そういうのができる立ち位置にいると思うから。そういうのは考えているので、最低でも年イチで対バンイベントをやろうという約束をしてます。目標ではなく、約束。爆弾だけでガーンと行くというよりは、みんなの見えてないところでつながっている部分を持ち上げる活動をしていきたい。爆弾がガーンと行くのなんて結果じゃないですか。爆弾を見たり聴いたりして「いい」と思った人たちがいれば、ガーンとなるだろうし。そこを、ガーンとなるために自分たちが何かやるのは違うから。それだったら、そういう戦略で大人たちとやった方がいいじゃないですか。良くも悪くも、今は個人主義だと思います。令和になって、世の中がなかなかの個人主義になってきてるから、そういう雰囲気も若者たちの後押しになってるような気がしますよね。どこかに属さなくても発信ができるよとか、そういう流れはあるから「個」を意識せざるを得ないし。爆弾のメンバーも各々の活動をやってるし。自分としては、外に開くきっかけはマンズだったけど、いろんなもののきっかけはその前にあったりもするものだと思うから、それを回収しながらやっていこうと思ってます。

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INFORMATION



爆弾ジョニー『ライブ会場限定CD!』
2019年12月4日(水)リリース
収録曲:1.滑空キラー/ 2.明後日/ 3.ブービートラップ/ 4.ガンギまりサマーデイズ/ 5.めきめき/ 6.feel colors/ 7.パリピポ/ 8.歩く


※ LIVE INFORMATION は公式サイトでご確認ください。

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