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THE WHO 『WHO』(Like It〜Editor's Choice)

2019.12.12 upload

THE WHO 『WHO』
2019年12月6日(金)Release
<収録曲>1オール・ディス・ミュージック・マスト・フェイド/2ボール・アンド・チェーン/3アイ・ドント・ワナ・ゲット・ワイズ/4ディトゥアー/5ビーズ・オン・ワン・ストリング/6ヒーロー・グラウンド・ゼロ/7ストリート・ソング/8アイル・ビー・バック/9ブレイク・ザ・ニュース/10ロッキン・イン・レイジ/11シー・ロックト・マイ・ワールド/12ディス・ガン・ウィル・ミスファイアー (日本盤&海外デラックス盤ボーナス・トラック)/13ゴット・ナッシング・トゥ・プルーヴ (日本盤&海外デラックス盤ボーナス・トラック)/14ダニー・アンド・マイ・ポニーズ (日本盤&海外デラックス盤ボーナス・トラック)/15サンド (デモ) (日本盤&限定デラックスLPボーナス・トラック)


70歳の16文キック
THE WHOが13年ぶりのニューアルバム『WHO』をリリース。最初、サブスクで何曲か配信されていたが、いいのかよくないのかわからないままリリース日へ。蓋を開けたら名盤だった。プレイリスト全盛の現代においてアルバムの構成力がどれだけモノをいうのかわからない。しかし、この作品に限っていえば、アルバムを通して聴いてこそ得ることができる起承転結の妙が封じ込められている。ぼくらはいつだってこのアーティストが綴る「物語」に魅了されてきた。だからこそアルバムを「作品」と恥ずかしげもなく呼ぶことができる。なぜプレイリストよりもアルバムなのか。このアルバムを聴くとよくわかる。バンド・マジックならぬアルバム・マジックによって、ひとつひとつの楽曲がより際立っている。構成力も去ることながら、まずそれぞれの楽曲がいい。創意工夫されているのだろうけど、それを感じさせず、シンプルに聴こえてくるアレンジがいい。ピート・タウンゼントとロジャー・ダルトリーの音楽センスを素直に焼き付けたところがいい。もはやぼくらは70歳オーバーのTHE WHOに新境地など求めていない。THE WHOはTHE WHOであってほしい。それを実践したような作品だ。もしかしたらこの作品を作るにあたって「THE WHOっぽさとは?」という自問自答があったのかもしれない。THE WHOがTHE WHOになろうとして出来上がった作品のようにも聴こえる。だからあえて『WHO』というタイトルをつけたのかもしれない。果たしてそれがロックンロールなのかと問う声もあるだろうが、70歳オーバーにしてロックの王道をやれるという事実はどう考えてもロックンロールだろう。プロレスに例えるなら、晩年のジャイアント馬場がメーンエベントで重量級の16文キックを放っているようなものだ。つまりこの作品ではありえないことが起こっているわけで、それだけでも十分にロックンロールだと思う。(森内淳)


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